第21話 露店
――ズックの家を出てから3週間がたった。
シキとアカは山の麓の警備を続けていた。最初の方こそ、木人形も姿を見せていたが、徐々に数も減りここ1週間は平和な日々が続いていた。
「もう、いねーのかなー?」
「そうだね〜。カラスロさんも調査に行くって言ってたし、そろそろお役御免かもね。」
「まぁ割と稼げたし、そろそろ旅立ってもいいよなー。」
「当面の生活費くらいにはなったし、いいかもね。でも、どこに行くの?」
「…それなんだよなー。当てもないしなー。」
「はぁ…計画性がないな〜。」
話をしている2人のもとへ、カラスロがやってきた。
「お2人とも、ありがとうございました!調査に出たものから木人形たちの姿が見当たらないとの報告がありましたので、本日までで大丈夫そうです!」
「そーか。世話になったな。」
「こちらこそ。お2人のお陰で街の平和が保たれたと、警備の者たちが言っておりました。やはり、お強いんですね。」
「――そんなことはないさ。」
「して、これからはどうされるのですか?」
「んー、明日にでも旅立とうかと思ってる。」
「そうですか。旅の無事、そして探し物が見つかるように祈っていますね。」
「あぁ、ありがとう。」
「いえいえ、それでは。」
カラスロは忙しそうに街へと戻っていった。
「やっぱり、もう大丈夫みたいだね〜。」
「そうだな。とりあえず次の街目指して旅立つか!」
「う〜ん。近いところで言うと、機械の街って呼ばれてるとこかな〜?」
「じゃあ、とりあえずそこに向かうか。」
その日の警備を終え、2人は宿に戻ることにした。
戻りながら、街中がいつもより活気付いていることに気づいた。
「なんか、やたら人が多いな。」
「そうだね〜。どうしたんだろ?」
「行ってみるか!」
「あっちの方みたい。みんなについていってみよ!」
2人が人の流れに沿っていくと、多くの露店が並んでいた。
「昨日までなかったよな?」
「うん。なかった…てゆうか、なんか見慣れない物が売ってある!」
「何だこれ?短い鉄の棒…穴の空いてるぞ?」
「いらっしゃい、お2人さん!この棒が気になるのかい?これはいいよ〜。新作なんだ!」
「何ですか?これ?」
「これはね〜。色の補助道具さ、その名も銃という!指につけて色を発現させることで、狙ったところに真っ直ぐ飛んでいくのさ!青なら水の弾、赤なら火の弾がね!」
「…え、それってすごいの?」
「――甘いなお嬢さん。小さい弾を出すなんて難しいし、ましてやまっすぐ飛ばすなんて…。しかも、これなら少しの色でいいんだぞ?子どもだってコップを倒すくらいできるんだ!」
「ん〜いまいち、わかんないや。」
「なら、実践してみよう!おい、スネズ。コップ用意しろ!」
「うーす。」
スネズと呼ばれる灰色がかった髪の青年が、コップを準備し銃という鉄の棒をアカに持ってきた。
「お姉さんは何色?」
「あたしはねー、赤。でも、小爆発で発現させてるよ?」
「――大丈夫。色を出す感じで使ってみて。軽くだよ?」
アカは銃を人差し指にはめて、コップの方に向け色を出してみた。
――タンッという音が響き、銃から小さな火の弾がコップに向かって放たれた。
火の弾はコップに穴を開け、後ろの板まで届いた。スネズが慌てて板に水をかけ消火した。
「――すごいよ、シキ!あたし少し色出しただけなのに、あんなに飛んでったよ!」
「そうだろ、お嬢さん!どうだい護身用に1ついらないかい?」
「ほんとにすごい!おじさん、どーゆー仕組みなの?」
「あ、いや…ほら、仕組みは企業秘密ってやつだから…。買うかい?」
「ん〜どうしよっかな…。本気で色出せば結構な威力になりそうだし…。ねぇシキどーしよっか?」
「――好きにすればいいだろ?」
「うー…ん。」
「ま、まぁまぁ、すぐに決めなくたって大丈夫さ。今日、明日はここで店出してるから、欲しくなったらまた来てくんな!」
「――わかった。少し、考えてみるね。おじさんありがと!」
アカは名残惜しそうに銃を見ながら、シキと他の店も見て回った。
露店には様々なものがあった。護身用の道具から生活に必要なコンロまで売ってあった。
しばらく見て回った後、シキとアカは宿に戻った。
夕食をとりながら、今後について2人は話した。
「――とりあえず、その機械の街ってとこに向かうか。なんていう街なんだ?」
「確かね…ドラフターって名前だったと思う。機械の街っていうくらいだから、色んな道具を作ってるんだろうね!」
「…今日の銃みたいなやつか。」
「そうそう!もしかしたら、あの露店はドラフターから来たのかもね。」
「で、銃はどうするんだ?」
「…うん。やっぱり、いいかな。旅の資金もいるし今回は見送るよ。」
「好きにしていいんだぞ?2人で稼いだ金だし。」
「んー…遠距離での護身用にいいかなとも思ったけど、我慢する!」
「そーか。…じゃあ、今夜中に準備して明日旅立つぞ。」
「りょーかい!」
2人はそれぞれ部屋に戻り、支度をして眠りについた――
次回は
7月14日(水)21時
投稿です!
ぜひ、楽しみください♪




