第20話 取調べ
――シキとアカは屯所にいた。
目の前には、カラスロが座っている。
「――まず初めにですが、私たちは自警団です。街の人々を危険から守るために存在しています。憲兵団や騎士団ではないので、特に力は持ち合わせていません。なので、正直にお話ししてくださいね。」
「――わかった。何を話せばいーんだ?」
「では、あなた方はこの街の方ではありませんね?」
「そうだな。2人旅をしてる。」
「それは、何のために?」
「…探し物をしてる。」
「ほう。探し物とは?」
「そこまで言う必要あるか?」
「――ありませんね。では次に、なぜ山に入ったのですか?警備の者が止めたはずですが…」
「ズックっておっさんを助けるためだ。」
「そうですか。お知り合いですか?」
「いや、知らん。昨日初めて会った。」
「では、なぜ助けに?」
「頼まれたからな。」
「誰に?」
「誰って名前とか知らねーよ。そんなに大事かそれ?」
「…ズックという男は、柄の悪い連中と繋がってるようでして確認も兼ねて伺ってます。」
「――そんな奴らの頼みは聞かねーよ。」
「…そうですか。ありがとうございます。では、山の様子はどうでしたか?」
「何だっけ…そうだ、木人形ってのが大量にいたぞ。」
「大量とは、どのくらい?」
「いや、数えてないけど50以上はいたんじゃねーかな?」
「すごいですね。その中を抜けてきたのですか!」
「――まぁ。」
「……」
「どうした?」
「いえ、木人形がそれほど大量に発生することも珍しくて…」
「そーなのか?」
「はい。多くても10〜15体くらいが普通なのですが、50以上とは…いや、もっといるかもしれませんね。」
「そんなに強いって感じでもなかったけどな。」
「…確かに、大人が2.3人もいれば1体くらいなら対処できるのですが。――失礼ですが、どれほどこの街におられますか?」
「あんまり長居するつもりはないな。聞きたい話も聞いたし…」
「…お2人にお願いしたいことがあるのですが。」
「は?」
「あ、いえ、できればでいいのですが、しばらく山の麓の警備についていただけないでしょうか?」
「何で、俺たちなんだよ。あんたたちでやってるんだろ?」
「――もし、木人形が大量に降りてきた場合、私たちだけでは対応が難しいかもしれません。お話を聞く限り、お2人の力があれば街の安全を守れると思いまして…。もちろん、賃金はお支払いいたします!」
「……どうする、アカ?」
「そうだね〜。正直お金も心許ないし、いい話かも!」
「――そうだな。わかった。えーと、カラスロさん?俺たちで良ければ手伝うよ。」
「ありがとうございます!今回の件に関しても、お手伝いいただけるのであれば不問とさせていただきますね。」
「――わかった。まぁ、無視して山に入ったことも、仕方ないとはいえ悪かったな。」
「いえいえ、結果としては街の者を助けてくださったのですから。――では、明日からよろしくお願いいたします。」
「こっちこそ、よろしくな。」
シキとアカは屯所を出て、ズックの家へと向かった。
しばらく歩くとリンネルが2人の前に現れた。
「シキ!アカ!ありがとう。」
「リンネルか、なーにどうってことなかったさ。」
「ううん!2人がいなかったらズックは帰ってこなかったかもしれないんだ。ありがとう。」
「――そういえば、ズックには会ったのか?」
「…ううん。会いに行ったけど、出てきてくんなかった。」
「あのおっさん…」
「いいんだ!もともと、仲が良かったわけじゃないし。」
「よくねーよ。ありがとうくらいあってもいいじゃねーか。」
「…ほら、元職人だしさ。そういうもんだよ。――とにかく、ありがとうね。俺、もう行くよ!」
「あ、あぁ、じゃあな。」
「ばいばーい!」
リンネルが去っていったあと、アカがつぶやいた。
「リンネル君、昨日とおんなじ服だったね。」
「……」
シキは何も言わなかった。
ズックの家に戻ると、シキはズックに詰め寄った。
「おい!おっさん、リンネルに会わなかったって?」
「…関係ないだろ。」
「関係なくねーよ!あいつのおかげで助かったんだろーが!」
「…いらん世話だ。」
「お前っ!」
「シキ、やめな。2人の問題だ。」
「アカ、でも…」
「あたしたちはこの街の人間じゃない。あたしたちにはわからないことだってあるさ。」
「…そういうことだ。」
「――くそっ」
シキは荷物をまとめて家を飛び出した。
アカも荷物をまとめた。ドアの前に立ち、アカが言った。
「――ズックさん。理由は知らないけど、人として良くないよ。リンネル君はあんなにあなたのことを慕っているのに…。――昨日は泊めてくれてありがとう。それじゃ。」
「……」
ズックは何も言わなかった。
2人が出ていった後、ズックは酒瓶を片手にキャンバス作りを再開した――
次回は
7月12日(月)21時
投稿です!
ぜひ、お楽しみください♪




