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キャンバスメモリアル  作者: tom
第2章 出会い
20/33

第20話 取調べ


――シキとアカは屯所にいた。

目の前には、カラスロが座っている。


「――まず初めにですが、私たちは自警団です。街の人々を危険から守るために存在しています。憲兵団や騎士団ではないので、特に力は持ち合わせていません。なので、正直にお話ししてくださいね。」

「――わかった。何を話せばいーんだ?」

「では、あなた方はこの街の方ではありませんね?」

「そうだな。2人旅をしてる。」

「それは、何のために?」

「…探し物をしてる。」

「ほう。探し物とは?」

「そこまで言う必要あるか?」

「――ありませんね。では次に、なぜ山に入ったのですか?警備の者が止めたはずですが…」

「ズックっておっさんを助けるためだ。」

「そうですか。お知り合いですか?」

「いや、知らん。昨日初めて会った。」

「では、なぜ助けに?」

「頼まれたからな。」

「誰に?」

「誰って名前とか知らねーよ。そんなに大事かそれ?」

「…ズックという男は、柄の悪い連中と繋がってるようでして確認も兼ねて伺ってます。」

「――そんな奴らの頼みは聞かねーよ。」

「…そうですか。ありがとうございます。では、山の様子はどうでしたか?」

「何だっけ…そうだ、木人形(ウッドマン)ってのが大量にいたぞ。」

「大量とは、どのくらい?」

「いや、数えてないけど50以上はいたんじゃねーかな?」

「すごいですね。その中を抜けてきたのですか!」

「――まぁ。」

「……」

「どうした?」

「いえ、木人形(ウッドマン)がそれほど大量に発生することも珍しくて…」

「そーなのか?」

「はい。多くても10〜15体くらいが普通なのですが、50以上とは…いや、もっといるかもしれませんね。」

「そんなに強いって感じでもなかったけどな。」

「…確かに、大人が2.3人もいれば1体くらいなら対処できるのですが。――失礼ですが、どれほどこの街におられますか?」

「あんまり長居するつもりはないな。聞きたい話も聞いたし…」

「…お2人にお願いしたいことがあるのですが。」

「は?」

「あ、いえ、できればでいいのですが、しばらく山の麓の警備についていただけないでしょうか?」

「何で、俺たちなんだよ。あんたたちでやってるんだろ?」

「――もし、木人形(ウッドマン)が大量に降りてきた場合、私たちだけでは対応が難しいかもしれません。お話を聞く限り、お2人の力があれば街の安全を守れると思いまして…。もちろん、賃金はお支払いいたします!」

「……どうする、アカ?」

「そうだね〜。正直お金も心許ないし、いい話かも!」

「――そうだな。わかった。えーと、カラスロさん?俺たちで良ければ手伝うよ。」

「ありがとうございます!今回の件に関しても、お手伝いいただけるのであれば不問とさせていただきますね。」

「――わかった。まぁ、無視して山に入ったことも、仕方ないとはいえ悪かったな。」

「いえいえ、結果としては街の者を助けてくださったのですから。――では、明日からよろしくお願いいたします。」

「こっちこそ、よろしくな。」


シキとアカは屯所を出て、ズックの家へと向かった。

しばらく歩くとリンネルが2人の前に現れた。


「シキ!アカ!ありがとう。」

「リンネルか、なーにどうってことなかったさ。」

「ううん!2人がいなかったらズックは帰ってこなかったかもしれないんだ。ありがとう。」

「――そういえば、ズックには会ったのか?」

「…ううん。会いに行ったけど、出てきてくんなかった。」

「あのおっさん…」

「いいんだ!もともと、仲が良かったわけじゃないし。」

「よくねーよ。ありがとうくらいあってもいいじゃねーか。」

「…ほら、元職人だしさ。そういうもんだよ。――とにかく、ありがとうね。俺、もう行くよ!」

「あ、あぁ、じゃあな。」

「ばいばーい!」


リンネルが去っていったあと、アカがつぶやいた。


「リンネル君、昨日とおんなじ服だったね。」

「……」


シキは何も言わなかった。

ズックの家に戻ると、シキはズックに詰め寄った。


「おい!おっさん、リンネルに会わなかったって?」

「…関係ないだろ。」

「関係なくねーよ!あいつのおかげで助かったんだろーが!」

「…いらん世話だ。」

「お前っ!」

「シキ、やめな。2人の問題だ。」

「アカ、でも…」

「あたしたちはこの街の人間じゃない。あたしたちにはわからないことだってあるさ。」

「…そういうことだ。」

「――くそっ」


シキは荷物をまとめて家を飛び出した。

アカも荷物をまとめた。ドアの前に立ち、アカが言った。


「――ズックさん。理由は知らないけど、人として良くないよ。リンネル君はあんなにあなたのことを慕っているのに…。――昨日は泊めてくれてありがとう。それじゃ。」

「……」


ズックは何も言わなかった。

2人が出ていった後、ズックは酒瓶を片手にキャンバス作りを再開した――

次回は

7月12日(月)21時

投稿です!


ぜひ、お楽しみください♪

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