35/37
35
目が潤んでいて、完全におびえた様子の由莉に思わずため息が出てしまう。しかし、そんな高野に余計身を縮こませてしまった。
「いいか。一回で聞け」
「はい」
威勢のない小さな声でボソボソと返事をした。
二人とも地面を見つめたまま、お互いを見ようとしない。意を決して高野が顔をあげ由莉をまっすぐ見た。
「すまなかった」
「高野さん! 」
勢いよく頭を下げた高野に、由莉が謝るのはやめてくださいと顔の前で大きく手を振った。
「なんで急に謝罪なんか……。高野さんらしくありません」
「俺らしいってどういうことだ」
「いつも偉そうで、喧嘩腰なのが高野さんなんですから。へこへこ謝るなんて可笑しいですよ」




