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「これ、お願いできるかしら?」
「オファーたくさんありますね。明日休んだら次の日からは舞台も始まるし、キツイですね。コーヒーいります? 」
いつもは大体この時間から由莉とコーヒーを飲みながら世間話を楽しむ木田が
「ごめんなさい、今日は先に失礼するわ。戸締りよろしくね」
由莉と高野に軽くお辞儀をすると大きな通勤鞄を手に持って事務所を出て行った。
木田がいなくなったことによって一気に緊張感が緩み、高野はきつく締めていたネクタイを緩め、由莉はキーボードから手を離した。
「もうヘトヘトですよ」
「イケメンに囲まれてウハウハしてた癖によく言うよ」
だらしなく股を開き、クリアファイルで顔を仰ぐ由莉を一瞥すると顔をしかめる。
が、そんな高野に目も向けず椅子をクルクルと回転させながら会話を続ける。
「例え睡眠不足でも疲労がピークに達していても、笑顔だけは忘れていなくて。本当の意味で恰好いいなあって思いました」
「惚れたのか?」
「言ったじゃないですか、ファンなだけだって。単に人として尊敬できるってことですよ」
言い合いをしていると部屋のドアが開く。




