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悲しそうに目を伏せる良樹の手を由莉が強く握りしめた。
「ごめんなさい。私じゃ力になれません」
「ありがとう。話を聞いてくれて。少し楽になったよ」
無理して笑う良樹に後ろ髪引かれながら控え室を出ると、高野と視線が絡まった。
「行くぞ」
口パクで伝え由莉より一足先に、撮影が終わり世間話を始めたスタッフに挨拶をしてから車に乗り込んだ。
「車の許可でたんですか?経費削減しろってうるさいのに 」
「うるさいって仮にも上司になあ……。さすがに歩きじゃ追跡できないだろう」
ちらちらと木田が駐車場に停めてある自分の車に乗ったのを確認しながら由莉に説明をする。
「それにしてもトルマリン01って、そんなに危険な薬物なんですか? 」
「お前……まさか知らないでここまで捜査してたのか?トルマリン01は小さな殺人兵器だ。少ない量で人を殺すことができる。さすがアホだな」
「うるさいです。それより木田さん、出て行っちゃいましたけど」
「なんでもっと早く言わない」
車を急発進させ、なんとか木田の車に追いつくとピタリと後ろに張り付いた。しかし、だんだん建物が少なくなっていき、周りが田畑に囲まれた場所になっていく。二人の車と木田の車の他は全くいない。




