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夜の帳がおりる頃  作者: 神無 乃愛
第二章
14/17

4


 農地改革はすぐさま座礁に乗り上げた。

 何故もここまで作物が育たないのかと。

「ゴドフリー閣下」

 アーベル将軍がひっそりとやって来た。何とか軍としての体裁を整えることが出来たのは、アーベル将軍のおかげと言ってもいいだろう。

「どうしてこうも育たないかな……」

 肥料もそれなりにやっている。アーベル将軍の故郷から技術者を呼び、指導しているものの上手くいかない。

「トーマス殿が言うには、カーン帝国が手放した理由がこれ(、、)なんだそうです」

「どういうことだい?」

「理屈は小生も分かりませんが、作物が育たない。砂漠よりもある意味酷いのだそうです」

「彼はどうしている?」

「どうもこうも、どういう配分の肥料が一番いいのか考えていたそうですが」

 数年たっても答えが出てこないのが不思議だった。

「理由は何となく突き止めてるんでしょうが、確定していないので言わないだけでしょう」

「今すぐ聞きにいく」

 このまま農地改革が遅れれば、領民が尚更苦しむことになるのだ。


 アポを取って行ったものの、対応はクレールだった。

「……トーマス所長は?」

「所長なら、ずっと研究してますよ。……農地の専門家は以前殿下のところに」

「分かっている。だが、結果がでなくては意味がない。このまま領民に飢えさせることになる」

「……ここはね、特殊な電磁波が飛んでる地域なんですよ。だから、宮殿や大きなところの窓は特殊素材で出来てるんです。そんな金のない一般市民はどこで休んでると思いますか?」

「……地下……か?」

「はい。その通りです。まぁ、爆撃から身を守るという理由もありますけどね。

 現在の科学力ではその電磁波を取り除くことが出来ないわけですよ。でも、太陽に当たらないわけにはいきませんからね。

 電磁波が酷くなるのは明け方。つまり、ここの人たちは昼くらいから夜にかけて動くのが多いのはそれが理由です」

 衝撃的な理由を打ち明けられた。

 ちょうどそこに、白衣姿のトーマスが通りかかった。

「所長、電磁波の件、話しました」

「それで?」

 その言葉に、全員がぎょっとした。

「それに対しての具体策が出なければ、僕だってどうしようもない。農地の専門家は既にこちらにはいないんだから」

「それでトーマス殿は何をしておったのかな?」

「帝都に渡す研究所の纏めですけど? 昨日の夜に今日夕方まで送信しろと命令が来ましたから」

「夜に?」

「はい。日常茶飯事ですけど。まぁ、誰かしらここにいるので大抵すぐ分かりますから」

 当たり前のように言うトーマスにゴドフリーは絶句した。

「とりあえず、一刻で纏まったので先ほど送信してきました。何かあったらドーラが教えてくれますから」

 そこまで言うとトーマスはクレールの隣に座った。

「で、農地のことでしたっけ?」

「そうだ。このまま続けばこの土地は飢える」

 それを聞いたトーマスが深いため息をついた。


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