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農地改革はトーマスたちが率先して以前からやっていた。
それをゴドフリーに一任するだけである。
よその地域ではほとんど食べられることのない、雑穀がここの主食である。
トーマスがこの地に来た時に一緒に持ってきたもので、今ではこれ無しでは生きていけない。
痩せた大地でも量が多く採れ、連作障害もほとんどない。
この土地を調べた上で持ってきたものだ。
ちなみに、何故その穀物をトーマスが持っていたかというと、祖父がよく食べるものだったからである。
祖母の産まれた土地はここのように貧しかったという。炭鉱で成り立っていたため、カーン帝国の侵略をよく受けていたそうだ。
そして、停戦成立。
それを破って攻めてこられたとき、祖母は孤児になったらしい。
その戦いこそ、この土地を掠め取れた理由だ。
祖父はよく言う。
「この土地は祖母が生まれ育った土地を生贄にして得られた大地だ」と。
その通りだとトーマスも思う。
二十近く離れた夫婦だったそうだ。
雑穀は味がしない。この土地には調味料もない。
野菜も育ちが悪い。
だから幼い頃の死亡率が高すぎる。
「……しかし、どうしたものか」
「所長? どうしたんです?」
「このまま殿下にこの改革を譲り渡していいものかと悩んでいる」
その言葉にクレールが苦笑していた。
「どこまでワーカーホリックなんですか、あんたは。アーベル将軍にいただいた作物もあるんですから、公爵様に任せましょうよ。どうせ、現地指導はアーベル将軍ですよ。何かあったら所長のところに……来ましたよ」
呆れ果てたクレールの言葉が途中で切れた。
「トーマス殿、この石をどうするつもりだ?」
「硬化ガラスの原材料。上手く配合さえ間違えなければ宇宙用ガラスくらいにはなるから」
「……よくぞこんなもので……」
「殿下には内緒ね。帝国に知られたら、根こそぎ持っていかれるから」
ただでさえ、窓を多く、大きくした宇宙船の構想を帝国に取られた。これまで格安で奪われたら、この地域の生活が成り立たなくなる。
「配合はトーマス殿の頭の中か?」
「僕じゃない。クレール副所長」
「基礎は所長ですよ」
にっこり笑ったクレールがアーベル将軍に返していた。
「セルゲさん、農地改革全権殿下に譲渡しますから、そっちで好き勝手やってください。ちなみに、宮殿近くに地下開発室がありますから自由に使ってください」
この内職にまで小うるさく言われる位なら、農地改革くらいやってもらおうか。
トーマスは変な意味で腹を括った。




