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第63話 「天へ続く石段」
終わりが見え始めた、その時だった。周期を外れた大きな乱れ風が、不意打ちのように石段を薙いだ。「テオ!」。体の軽い少年の足が、石段から浮き上がる。フィーナが咄嗟に伸ばした手も、届かない。宙へ投げ出されたテオの襟首を、石段を蹴ったノアが、間一髪、宙で掴み取った。そのまま腕の力で石段の縁に指を食い込ませ、二人分の体重を支えきる。引き上げられたテオは、しばらく声も出せずに震えていた。「……い、命拾い、しました……」。
石段を登りきった四人を迎えたのは、不気味なほどの静けさだった。嵐はまるで見えない壁に遮られたかのように、頂の周りだけを避けて渦を巻いている。その静寂の中心に、風雨に削られた巨大な社が、天を衝いてそびえていた。苔むした大扉には、翼を広げた鳥の紋。ノアの窓が、静かに赤く灯る。封印は、この奥だ。四人は顔を見合わせ、重い大扉に手をかけた。




