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第56話 「海を渡る誓い」
祭壇の転移で島の地上へと戻った四人を、夕暮れの光が出迎えた。海底の冷たさが、まだ肌に残っている。ヴェルナは、消耗しきった体を引きずるようにして岩場に立ち、しばらくの間、霧の晴れた故郷の島を、黙って見つめていた。一族の眠る、誰もいなくなった土地。その封印の奥で、本当は何が起きていたのか――その答えの、入り口にだけ、ようやく触れた気がした。
ガレオは、約束どおり岩場で待っていた。憔悴しきった四人を見ても、彼は何も問わず、ただ温かい毛布と、湯気の立つ汁物を差し出す。「……無事で、なによりだ」。船がマレアの港へ向かう間、ガレオはずっと、晴れやかな顔をしていた。
別れ際、彼はノアの肩を、ごつい手で軽く叩いた。「お前たちのおかげで、俺はまた海に出られた。海が必要になったら、いつでも訪ねてこい。この老いぼれの舵は、まだ錆びちゃいないからな」。フィーナが笑って手を振る。遠ざかる船の上で、ガレオの影が、夕日に長く伸びていた。ヴェルナは、もう島を振り返らなかった。「……前を見る。私が確かめるべきものは、もう、あの島にはない」。四人での、新しい旅が、ここから始まろうとしていた。




