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第44話 「島を守る者」
戦いが終わっても、ヴェルナは三人を、すぐには信じようとしなかった。だが、傷ついた獣の亡骸を悼むように見つめるノアの姿に、彼女の硬い表情が、ふと緩んだ。テオが、静かに尋ねる。「あなたは、なぜ一人で、この島に?」。
ヴェルナの足が止まる。長い沈黙のあと、彼女は、霧の向こうの廃墟を見つめたまま、ぽつりと語り出した。「……私の一族は、この封印の番人だった。代々、あれが漏れ出さぬよう、守り続けてきた。だが、十数年前――封印が一度緩み、中の力が、外へ溢れ出した夜があった。里は、一晩で、瘴気に呑まれて滅んだ。生き残ったのは、私、ただ一人だ」。
その声には、もう、最初の棘はなかった。あるのは、深い喪失と、たった一人で故郷を守り続けてきた者の、静かな疲れだけだった。「だから私は、ここを離れられない。二度と、あれを、誰にも解き放たせはしない」。フィーナが、そっとその隣に並んだ。「……一人で、ずっと。つらかったわね」。




