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第34話 「海へ続く道」
街道を進むほど、空気に潮の香りが混じり始めた。やがて街道の果てに、青く広がる海と、その縁に寄り添う港町が見えてくる。だが、近づくにつれ、町の様子がどこか沈んでいることに、三人は気づいた。
港には大小の漁船がひしめいているのに、沖へ漕ぎ出している船が、一隻もない。テオが酒場で話を集めてくると、その顔は曇っていた。「まずいですね。例の島へ渡る船が、出ていないんです。あの海域には、船を片端から沈める化け物が出るとかで……誰も、近づこうとしない」。
フィーナが腕を組み、海の彼方へ目を細めた。「封印のある島は、あの海の向こう。船がなければ、渡る手立てがないわね」。ノアは静かに、波打ち際から沖を見つめた。鼻はまだ取り戻していないが、それでも、遠い海の向こうから漂ってくる、かすかに不穏な気配を、肌で感じ取った気がした。次の試練は、この海を越えた先で、静かに彼らを待っていた。




