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第31話 「灼熱を越えて」
長い帰り道を経て、三人が火口の洞から外へ出ると、夕暮れの風が頬を撫でた。ノアは新しく取り戻した脚で、その涼しさを、足の裏から確かに感じ取る。鋼だった頃には、決して分からなかった感覚だった。
イグナの町へ戻ると、住民たちが歓声を上げて出迎えた。山の封印が静まり、町を脅かしていた火の魔物の出現も、ぴたりと止んだのだという。傷の手当てと温かい食事に、三人は久方ぶりに人心地がついた。フィーナが焼けた肩をさすりながら笑う。「やっと、まともに眠れそうね」。
数日の休養のあと、ノアの窓が、次の封印の在り処を映し出した。その印は、これまでとは比べ物にならないほど遠く、海を渡った先――大陸から離れた、ひとつの島の上で、青白く点っていた。テオが地図を広げ、表情を引き締める。「海の向こう、ですか。……まずは、海辺の港町を目指すしかなさそうです」。新たな旅路が、また一つ、始まろうとしていた。




