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第28話 「結界の限界」
だが、戦いが長引くほど、テオの顔色は失われていった。ダンジョンの熱から皆を守り続けてきた冷気の結界が、もう、底を尽きかけていたのだ。「魔力が……保たない。皆さんを冷やす分が、もう……っ」。その言葉の途中で、青い膜が、ぱりんと音を立てて砕け散った。
途端、空洞を満たす本来の灼熱が、容赦なく三人を襲う。肺が焼けるような熱気に、フィーナが膝をつき、ノアの機械の体さえ、関節が悲鳴を上げて軋んだ。好機と見たイフリートが、両腕を高く掲げる。空洞全体を焼き尽くさんと、巨大な火柱が渦を巻いて膨れ上がっていく。
絶体絶命――その時、ノアは前へ踏み出した。テオとフィーナを背に庇い、両手にありったけの光を集める。声は出せない。だが、窓に灯った文字には、確かな覚悟があった。「二人は下がって。ここは、僕が止める」。守るべき仲間がいる。その想いが、ノアの放つ光を、かつてないほど眩く燃え上がらせた。




