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第25話 「最下層の業火」
下りの道は、これまでで最も急で、最も熱かった。岩壁はもはや、触れれば肌が焦げるほどに焼け、空気そのものが、揺らめいて見える。テオの冷気の膜も、ぎりぎりで持ちこたえているに過ぎない。一歩進むごとに、足の下で大地が、ずん、ずん、と脈打つのを、三人は感じていた。まるで、ここが火山の心臓そのものであるかのように。
長い下りの果てに、三人はついに、扉も壁もない巨大な空洞へとたどり着いた。その中央には、煮えたぎる溶岩の湖が、轟々と渦を巻いている。坑道を越え、橋を渡り、罠を抜け、番獣を退けて、ようやく辿り着いた、ダンジョンの最下層。ここまでの道のりが、否応なく、この奥に潜むものの大きさを物語っていた。
不意に、湖面が大きく突き上がった。煮えたぎる溶岩を割って、燃え盛る巨大な影が、ゆっくりと立ち上がってくる。全身を炎で形作った、二本の角を持つ巨人。まとう熱だけで、周囲の岩が溶け落ちていく。ノアの窓が、これまでで最も激しく、赤く明滅した。「守護者――イフリート」。長い灼熱の旅路の果てに、炎の精霊が、ついにその姿を現した。




