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第19話 「燃ゆる炉の町」
イグナの町が見えてきたとき、空はすでに不穏な色に染まっていた。町の方角から、黒い煙が幾筋も立ち上っている。火事ではない。ノアの窓が、夥しい数の赤い反応を捉えていた。「町が、襲われてる」。
三人が駆けつけると、そこは地獄だった。地の裂け目から這い出た、炎をまとう魔物の群れが、家々を焼き、逃げ惑う人々に襲いかかっている。ひとりの衛兵が、燃える爪に肩口を抉られて倒れていた。傷は深く、焼け爛れた皮膚から血が溢れ、本人は呻くことしかできない。すぐ傍では、母親が幼子を背にかばい、追い詰められていた。
ノアが窓に指示を綴るより早く、フィーナはもう右の群れへ駆け出していた。テオが両手をかざすと、母子を包む半球の光の壁がせり上がる。ノアは倒れた衛兵のもとへ走り、燃え盛る魔物へ手を向けた。指先に、白い光が膨れ上がる。




