13/75
第13話 「貫く一撃」
好機は一瞬だった。角を岩に食い込ませたベヒモスは、頭を引き抜こうと身をよじり、無防備な胸を晒している。ノアは両手を前に突き出し、窓に渾身の文字を刻んだ。
詠唱が、光となって膨れ上がる。指先に生まれた閃光は、これまでの火球とは比べものにならない大きさだった。「全力でいくわよ、ノア。私が道を開く!」。フィーナは駆け出し、剣に魔力を纏わせて巨獣の胸へ叩き込む。岩の外皮に、亀裂が一筋、走った。
その亀裂めがけて、ノアは光の槍を解き放った。轟音とともに白い奔流が外皮を撃ち砕き、奥で脈打つ赤い核を真っ向から貫く。ベヒモスの巨体が大きく痙攣し、岩肌の隙間から眩い光が噴き出した。
地を揺るがす断末魔の咆哮。やがて巨獣はゆっくりと崩れ落ち、無数の岩塊となって広間に散らばっていった。あとには、重い静寂だけが残された。




