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第11話 「大地の巨獣」
扉の奥は、見渡す限りの巨大な岩の広間だった。中央に蹲っていた山のような影が、ゆっくりと身を起こす。岩塊を寄せ集めたような褐色の巨体、頭から伸びる二本の太い角、地を踏みしめる四肢――ベヒモス。その双眸が、闖入者を捉えて赤く燃えた。
巨獣が前脚を振り下ろすと、広間全体が跳ね上がるように揺れた。震脚の衝撃波が床を走り、ノアとフィーナは弾き飛ばされる。フィーナはとっさに剣を地に突き立てて踏みとどまったが、ノアの鋼の体は数歩分、無様に転がった。「ノア、無事!?」。フィーナの問いに、窓が短く応える。「問題ない。痛みはない」。
それを確かめ、フィーナは前へ駆け出した。剣を振り抜き、ベヒモスの前脚を狙う。鋭い斬撃が当たった――はずが、刃は岩のような外皮に弾かれ、火花を散らしただけだった。手応えのなさに、フィーナの顔が引きつる。「冗談でしょ。斬れないって、どういうこと」。




