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作戦名“俺の邪魔はするな”


「対戦校も発表されましたし、会長様達と一度合流した方がよさそうですね」


「あんまり休めなかったニャ」


「ティグリスさん?どうかしましたか?

凄く難しそうな顔してますけど…」


「ん〜」


各々が画面を見つめるなか、ダグラスが俺の顔を心配げに覗き込んできた。

俺はそれに曖昧に答えながら部屋の中を改めて見回した。あんなに大暴れしたのに、部屋の中は全く荒れていない。


「隊長、気分が優れないようでしたら後から来て頂いてもいいですよ?」


俺は釈然としないまま、グライドに首を振る。白昼夢にしては、リアル過ぎる。ここに一人で残りたくはない。


「大丈夫。早く隊長サマのとこ行こ」


※※


生徒会メンバー達に合流した俺達は、それぞれ思い思いに武器の手入れをしていた。

だが俺だけは、セーレの言葉が頭から離れずただ椅子に座っていた。

ダグラスやフォウフォウが気遣わせに此方をチラチラ見てくるが、今は話す気分にはなれない。


「(棄権…)」


当然、棄権しろと言われて棄権するつもりはない。

相談するなら、もちろんグライドとダグラスだが、二人はセーレに一瞬で動きを止められて、しかも一度記憶を消されてしまっている。万が一にもトラップ的な魔法の類だったとしたら安易にセーレの話題を持ち出すべきじゃない。

セーレの魔法に打ち勝てる強い力の持ち主、もしくは、魔法を無効化できる人間に協力を求めるべきだろう。


「おい、犬っころ。俺のローブ」

「椅子の上ニャ」


部屋の端で、ある意味俺の宿敵とも言えるジェラルドがフォウフォウと一緒に試合の準備をしていた。

いつも通りの横柄な態度でジェラルドがフォウフォウに何かしら注文をつけては、フォウフォウが素直に彼の言うことを聞いている。

ジェラルドよりも厳つい風貌のフォウフォウが素直に彼に従っている姿はなんとも異様な光景なのだが、もっと不思議なのは彼の尻尾を見る限り嫌がっていないという点だ。


「ニャーニャーニャーおめー、犬か猫かどっちかにしろよ」


「狼で犬猫どっちでもない……ニャ」


フォウフォウはジェラルドに話し掛けられる度にパタパタと尻尾を揺らした。顔には出さないが随分とご機嫌な様子だ。

まさか、餌付けでもされたのか?


「あン?なんだァ〜相手してほしーのか?」

「いりませェん♡」


ジェラルドがじっと見ていた俺に気付き、ニヤリと下卑た笑みを浮かべた。


ムリ。

いくら魔法を無効化出来ようと、アイツに相談するくらいなら大切なものを失った方がマシだ。つーか、相談なんてしようものなら見返りに何を要求されるか分かったもんじゃない。寧ろ別の大切なものを喪失しそうだ。

でもそうなると、無効化ではなくて単純に強い奴になるけど……。


「チッ…見るな、吐き気がする」

「やーん、会長サマ、ヒドイですぅ~」


ちょっと見ただけなのに、会長がゴミ屑でも見るような顔で吐き捨てた。


最近、この反応を返されると無性に反発したくなる。俺も好きでアンタを見たわけじゃないですから勘違いしないで下さい。これだからイケメンは自意識過剰で困るわ。イライラ。


「どうしたのですか?わ、私でよければ」

「大丈夫ですぅ。副会長サマはお気になさらないで下さい☆」


だいぶ俺への態度が軟化した副会長が声を掛けてくれたが間髪入れずにスッパリとお断りする。

悪い。俺に負けた副会長じゃ、たぶん無理。


「そうですか……そうです、、か」

「生意気ィ〜うっざ」

「うふ♡どぅもォ〜♪」


ウルズ、お前には一片の期待もしていません。筋肉美人ゴリラなあなたなら、セーレなんて一発KOだろうけど、絶対俺の相談なんてのってくれないっしょ。

むしろ、「きゃは、アンタの大切なものが無くなるなんて最高じゃーん」とか言って、あっち側に付くに決まってるっしょ。

……あーーったく、揃いも揃ってクソの役にも立たねえなぁ!もう!!


「…………自分にも」

「へ?」

「言え……ない?」


書記の人がおずおずと俺の袖を掴んだ。

高身長の彼がコテンと首を傾げて伺う姿は、なんとも言えない庇護欲をそそられる。

でもこの人、実は会長に引けをとらないオールマイティ系の実力者である。おっとりした口調に騙されてはいけない。確かにこの書記の人なら、なんとかなるかもだ。


「書記さまぁ。ほんとですかァ?」

「書記……」


書記の人が悲しそうに呟いた。

いや、すまん。名前、未だに覚えていないんだ。謝る、謝るからそんな悲しそうにしないでくれ。


「あ〜…ごめんなさぁい。

えへ、だってぇ、名前でお呼びするなんて恥ずかしくてぇ♡」


うむ。我ながら、「おま、本当に謝っとんのか!?」と言いたくなるような謝り方である。でも、親衛隊長だしな。


「レト……名前呼び……でいい」

「きゃっ嬉しいですぅ!レト様♡」

「ん」


書記の人改めレトがこくんと頷いた。

本当にいい人だ。生徒会の良心だ。

なんで、この人生徒会やってるんだ?いや、他のメンバーがおかしいのか。


「えぇとぉ……すっっっごく言い難いんですけど、、、耳貸してくれますかァ?」

「どうぞ」


レトが身を屈めて俺の高さまで耳を近づけてくれる。俺はレトの耳に顔を寄せて、先程のセーレの一件を伝えた。


「実は…………ゴニョゴニョ」

「………………………!」

「それで、……ゴニョゴニョゴニョ」


粗方話し終わり、レトが神妙な顔で頷いた。


「………警戒…した方が……いい」

「やっぱり、棄権した方がいいんでしょうか?」

「不要……守る、大丈夫」

「レト様♡」


力強くレトが俺の手を握ってくれる。

演技ではなく、本心からレト様とお呼びした。レト様ならば、きっと会長やウルズにも上手く伝えてくれるんじゃなかろうか?


「うわぁ〜節操無しィ〜〜」

「レト、お前なにを話してるんだ?

そんな奴は放っておいて、俺の作戦を聞け」


バ会長がレト様の後ろから俺の手を叩き落とした。俺は蚊か!


「その前に、大事な話が」


「後にしろレト。

作戦はこうだ“俺の邪魔はするな”以上」


“ガンガンいこうぜ”とか“命を大事に”とかそういう作戦名なら聞いた事があるが“俺の邪魔はするな”は初めて聞きました。

ふんぞり返るバ会長にウンザリしながら、俺はうっとり顔で可愛らしく返事をする。


「はぁ〜い♡邪魔しませぇ〜ん」


「あの……話を…」


「何か依存でもあるのか?依存は認めない。


「大事な」


「口説いぞ、レト」


レトが困り顔で俺を見た。

うん。知ってた。コイツはこういう奴だよ。


「レト様、気にしないで」


結局、セーレの言葉に不安を残しつつ試合な作戦も全くないまま、俺達は次の試合を迎えることとなった。

更新がすっかり遅れました汗

が、頑張ります汗

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