マイホームでモノヅクリ
――カランカランカランッ!――
――ガシャンッ!――
さて、工作の肝と成るのはコチラ――【変形した鋼板】と【大型機械の残骸】…。
「先ず、【大型機械】の残骸をナイフと有り合わせの道具を使って分解」
中の精密機器的なアレコレは大切に保管しておくとして、今必要なのは【大型機械】の外側を覆っていた〝鋼板〟と、ソレを固定していたボルト達だ。
「使える部位を組み替えて、ボルトで固定…シンプルに箱型にして…四方と真中に支柱を据えて…良し、完成」
出来上がったのは、一辺10m程の四角いコンテナ…廃材の側に作り上げたソレを遠巻きに一望し…俺は、〝仕上げ〟を行う。
――カチャッ――
「後は、実際に〝機能〟するかどうか…だな」
――パァンッ!――
放たれたエネルギー弾は拠点の側にある廃材の山、その側面を掠める…その小さな振動は、今まで均衡を保っていた廃材の山を揺らし…瞬間、決壊したガラクタが拠点に振り注ぐ。
――ガシャガシャガシャーンッ!――
轟音と、土埃を上げて降り掛かったガラクタ…しかし、俺はソレを見て満足感と共に銃を仕舞う。
「――最高の出来だな、コレなら万が一にも〝拠点〟がバレる事は無いだろう」
其処には、明らかに人口の手が加えられた〝拠点〟は完全に消え失せ…〝崩落したガラクタ山〟の一部と化した己の拠点がその入口を覗かせていた。
「後は、この辺のガラクタをドアと一体化させて…【簡易制作】――良し、【擬態扉】の完成だ」
其処に擬態加工を施したドアを嵌め込む事で、肉眼では完全に周囲の廃材と一体化する…完璧だ。
「――さて、感慨に耽る前に〝電棺〟を放り込んで、パパッと〝作業場〟を拵えるか」
ソレから30分程掛けて電棺と、軽い椅子と机を作り、その隣に鋼板で作った〝保管箱〟を設置すると…漸く、〝最低限の拠点〟が完成した。
「後は、此処を〝拠点設定〟で…良し、登録完了…登録名は………〝ジャンクルーム〟で良いか」
部屋に入り、椅子に腰掛けると…俺は早速インベントリの中から今まで大量に掘り集めた素材を全て取り出す。
――ジャラジャラジャラッ!――
「【壊れかけのインプラント】に、【壊れかけの機械腕】、【謎の液体容器】、【コードの切れた家電】…インプラントは…一応使用出来るっぽいが…こりゃ、使わねぇと中身が分からん臭いな…後で付け替えるか」
ソレ等を選別し、分解し…外装と中身の精密部品を取り分けると…いよいよ、俺は〝本丸〟の目標に手を掛ける…ソレはズバリ。
――ガチャンッ!――
「さぁさぁ、早速始めようか…〝武器の解体改修〟♪」
今の己にとって最も必要な手札…即ちこの過酷な世界に対抗する為の〝武器〟である。
「タップリバラして構造を隅々まで見せてもらうぞエネルギー・バレット♪……なぁに、初期武器なんだ完全に壊れても次のリスポーンで戻って来るだろう?」
己の相棒たるエネルギー・バレットを作業台に乗せ、俺はナイフとハンマーを取り出し…その中身をバラしていく。
――バキンッ、カチャッ…カチャッ…――
「フンフン……まぁ、グリップは強化プラスチックと…外側は大体予想通りだが…中身のコレが〝弾丸〟…いや、エネルギーを収束させる〝炉〟か」
解体し、取り出して良く観察する…。
「収束は〝炉〟から…この部分から放出され、〝エネルギー弾〟として完成すると…ふむふむ」
ソレを観察しつつ、俺の頭は超高速で先程選別した精密部品を思い出しながら、その中から〝ある物体〟を取り出す…ソレは、壊れた機械から取り出した、エネルギー・バレットの炉に良く似た形状をしていた。
「流石に此処までの部品を加工するのはまだ無理だな…となれば…より巨大な炉を内蔵して威力を底上げするか…確か、メックデッドの一体に良い武装のが有った筈――」
解体と同時に、改修の着想を得た俺は、そのままインベントリから目当ての部品を取り出し、ソレを保管箱の精密部品と組み合わせて、試行錯誤を繰り返す。
そうして出来たソレは、道具の不足も相まって不格好だが…俺の目は、その性能を見て感嘆に歪む。
――――――
【下級・エネルギー・バレット(改)】品質:低
【装備可能部位:右腕、左腕】
〈性能〉(通常)
消費EP10/1発(特殊ダメージ8)
〈性能〉(チャージ時)
消費EP20/1発(特殊ダメージ20)
・クールタイム5秒、蓄積負荷5%(100%で【過剰燃焼】)
――――――
「デメリット有りとは言え、存外悪く無い結果だな…とはいえ、コレだけではまだ少し物足りん」
後1つ、予備の武器を拵えるとしよう…幸い、今のノウハウと、現代知識が有れば、幾つか武器と消耗品を作れそうだ。
「フフフッ…今から試すのが楽しみだな」
口端が歪むのを自覚しながら、俺は一人黙々と作業を進める……。
それから暫くして……諸々の〝改修〟を終えた俺は、【廃材の外界】を練り歩き……〝標的〟を見つける。
――ザッ…ザッ…ザッ…――
「※※※※!!!!」
其処には一匹のメックデッド…頭部を失い、意味の分からない雑音を吐き散らしながらエネルギー弾を其処かしこに撒き散らす…【壊れた機械人形】が、少し離れた視線の先に佇んでいた。
「――〝実施運用〟には、お誂え向きだな」
ソレを一目見て、俺はそう言い…懐に手を伸ばす…。
――ガシャガシャンッ!――
右手には、改造され…如何にもお手製と言える姿に形を変えた【エネルギー・バレット(改)】…。
――ヴィィィィィンッ!――
左手には、怪しげな音を立てながらジャラジャラと使い道のない〝スクラップ〟を弾倉に詰めた…所謂〝ネイルガン〟が握られ…俺とメックデッドは相対する。
「先ずは軽くジャブから…互いに敵を認識してからが〝試験運用開始〟だな」
そして、俺がネイルガンで遠くで暴れるメックデッドに一発…ダメージにもならない釘を放った…その刹那。
――ガシャンッ!――
先程まで散々暴れ回っていたメックデッドが、俺に気付いた。
「※※※※※!!!!」
それと同時に、戦闘のゴングは鳴り、俺は眼前に迫る無数のエネルギー弾が振り注いだ。




