傭兵団を立ち上げよう・情報収集
本日の投稿をば。
「【加速】ッ!」
スキルを使い、射線から外れる…ソレと同時に、エネルギー・バレットをチャージして、メックデッドに接近する。
――ギュィィィンッ!――
メックデッド・ラプトルの武装から移植したエネルギー炉が、唸り声を上げ…十分な圧縮が完了した事を告げる、ソレを確認すると俺は、射線を修整しようとコチラへ銃口を向けるメックデッドの胸部目掛けて引き金を引く。
――パァンッ!!――
一層強い反動は、イコール火力の強さを証明する…放たれたエネルギー弾は、奴が弾丸を放つより早く奴の胸部に衝突し――。
――バキンッ!――
その胸部を凹ませて、亀裂を走らせる。
「――※※※!?」
「効いてる――と見て良いのか、【解析眼】の質が低くて分からん…が」
蹌踉めくメックデッド、その腹の中に潜り込み今度はその傷口に【ネイルガン】を押し付ける。
「――傷口は抉って、抉って引き摺り回すのが定石だよな?」
――カチッ!――
そして、その引き金を引いた瞬間…強烈な反動と共に超高速でネイルガンが稼働する。
――ダダダダダダダダッ!――
廃材から繋ぎ合わせたソレは、武装用として造られたエネルギー・バレットには、火力で劣るだろう…だが、エネルギー・バレットには無い強みが有る…ソレは。
――――――
【下級・廃材のネイルガン】品質:低
【装備可能部位:右腕、左腕】
〈性能〉
装填弾数:30発(1発:物理ダメージ4)
対応弾種:廃材の釘
――――――
「――クフッ♪」
継続火力による、ダメージの蓄積だ。
――ギンッギギギギギッ!――
「ッ※※※、※※※※※!?!?!?」
強力な装甲も一度傷が付けば脆い物で、ネイルガンを打ち込む度にゴリゴリと装甲が剥がれていく…やがて、メックデッドを覆う装甲に穴が空き、内部が顕になると俺はその開いた胸部に躊躇いなく手を突っ込む…すると。
「※※※ッ、※※※※…」
荒れ狂っていたメックデッドの暴走はピタリと止まり…俺は、メックデッドの胸部に有ったソレを【観察眼】で見つめる。
――――――
【メックデッドの動力炉(損壊)】品質:低
【素材系統:精密部品】
――機械人形達の心臓とも言える重要器官、劣化と損壊によって本来の機能を喪っているが、適切な技術が有れば修復は可能だろう――
――――――
「メックデッド…いや、機械人形の核か…壊れている様だが…修理出来るならまだ使えるな」
(ふむ……傭兵団を立ち上げる為にも、さっさとプレイヤーの居るコロニーを見つけ出すつもりだったが…さて)
機械人形そのものは、〝前作〟でも度々居た…と言っても、メックデッドの様な機敏さや、自己判断は無く…単純作業と決められた指示を淡々と熟すだけだったが…。
「……エネルギー・バレットの性能、技術水準を見ても分かる…この世界は、何百年も先の発展した技術力を有している」
(なら…もしかすれば、もしかするか?)
合理的判断が出来る、人と遜色のない〝機械人形〟…コレを作り、兵と出来たなら…そして、もし仮にもこの世界にも…〝人間以上の合理性を持ちながら、人間の情緒を理解できる機械人形〟が…居るのなら。
ソレは…正しく…。
『――』
「――クフッ♪……」
機械人形の動力炉をインベントリに放り込み、その残骸を引き摺りながら俺は帰路に着く…さて、〝こいつ等〟をどう改造しようか?。
「あぁ、楽しくなってきた♪」
●○●○●○
「――父上、御決断を!」
広く豪華な円卓に拳を打ち付けながら、一人の青年がそう吠える…その声の主の言葉に、その場に並び踏んだ重鎮達の視線が、一人の男へ向けられる。
「…ヘンリー、焦る気も分かるが、少し冷静になれ」
視線を向けられた、老齢の男は…他と明らかに異なる異彩を放ちながら、閉ざされた口を開く。
「――何を言うのですかッ、事態は一刻の猶予も無いのです、今すぐに兵を招集するべきでしょう!?」
その言葉に青年がそう返すが、その言葉を男はピシャリと切り捨てて言う。
「――兵を集めたとて、奴等には敵わん、我等と奴等にはソレだけの力の差が有るのだ」
「そんなものッ、やってみなければ分からないでは無いですか!」
その言葉を皮切りに、青年は熱り立って男と口論を始める…場の空気は益々重くなるばかりで、重鎮等の顔にも不安感が募っていく。
「……」
その光景を…一人の娘が、静かに見据えていた。
●○●○●○
「おぉ、居た居たァ」
武器の実地試験を終えた俺は、暫く情報収集をした後…外界を彷徨き、探していた物、というか者を見つける。
「あぁ?…誰だテメ――ヒッ、お前は…!?」
メックデッド共が彷徨うルートから少しズレた場所、界隈では【廃材の炭鉱】と呼ばれるその場所には、数人の〝漁り屋〟達が日銭を稼ぐべく、生命と体力を擦り減らしていた。
「――おいおい…そんなに怖がらなくても良いだろう?…【ガリウス・ウェイスタン】?」
そんな漁り屋の一人、以前俺が〝助けた〟…そう助けた漁り屋の男が、俺を見るなり顔を蒼くして後退る。
「怪我の具合はどうだ?…歩ける様加減したとはいえ、ちゃんと帰れるか不安だったんだ…無事で良かった良かった♪」
――ガシッ!――
後退り、逃げようとする男の肩に手を伸ばし…俺達の話し声に釣られた他の炭鉱仲間達に軽い手振りで挨拶する…他の仲間達に何か言おうとしたらしい男は、不意に己の腰に添えられた〝ソレ〟の感覚に…サッと顔を青ざめ…それから、仲間達に手振りで俺との〝友好〟を示すと…他の炭鉱仲間は、其々の稼業に戻る。
「――まぁ、積もる話…というか、俺からお前に頼みがあるんだ…まぁ座れよ」
炭鉱の側に造られた簡素な休憩所で俺と漁り屋…ガリウスは腰を下ろし、携帯食料の袋を開ける。
「どうだ、腹拵えでもしながら話でもしようや…」
「……」
「〝毒が有るかも〟って顔だな?」
「ッ…!」
「心配しなくても毒なんかないぞ、そもそも襲って来た他の漁り屋からかっ剥いできた食料だからな、、不安なら食わなくても良いが…煙草は?」
「…」
俺がそう言い携帯食料を齧りながら、同じく剥ぎ取り品の煙草の箱を手渡すと…ガリウスは、葛藤に悩みつつも、欲に負け…食欲と享楽を満たす。
「……さて、話って言うのはだ…実を言うと、そろそろ【傭兵団】を立ち上げるつもりなんだが…その為にちょいと〝機械人形に詳しい技師〟を紹介して欲しくてな…聞けば、この【廃材の外界】じゃ、〝漁り屋の集会所〟が幾つもあって、【連盟】が有るらしいじゃないか…其処で、お前やお前の知り合いにその手のツテが無いか聞きに来た訳だ」
ガリウスの顔から僅かに険が取れたのを見て俺がそう言うと…ガリウスは、携帯食料を飲み込んで俺へ言う。
「…確かに、〝集会所〟は有るな…〝機械技師〟についても何人か心当たりが有るが…大抵がモグリだし、〝機械人形〟はこの大陸の先進技術だ…ソレを扱える奴となると…此処じゃ滅多に居ない」
「〝滅多に〟?――つまり、居ないわけじゃ無いんだな?」
ガリウスの言葉に俺がそう問うと、ガリウスはどうも言い難い様に口を閉ざし…それから、言葉を濁す様に俺へ言う。
「あ〜……居る、居るが……〝あの爺さん〟は俺達の間じゃかなり有名な奴なんだよ…〝悪い意味〟で」
「なんだ随分言い淀むな…性格破綻者か?…それとも訳ありか?……いや、何方にせよ使える奴なら誰でも良い、〝ソイツの居場所〟を教えてくれ」
俺がそう言うと、ガリウスは心底嫌そうな顔をして…それから、俺をチラチラと見て…何か言いたげに指を擦る……成る程、当然ながら〝こういう事〟には、相応の〝対価〟が必要だろう。
「――生憎今現金は無くてな…物資も大概俺の拠点に置いてきちまったし、持ち合わせが無い――」
「……なら」
俺がそう言うと、ガリウスはゴミを見るような目で俺を一瞥し、席を立とうとする…そんなガリウスへ、俺は言葉の続きを言いながら立ち上がる。
「――だからまぁ、〝コイツ〟を代価にするってので手打ちで良いか?」
――ジャキンッ!――
俺がそう言い、エネルギー・バレットを前方に向けて放つと…瓦礫の先から現れたメックデッドに直撃し、蹌踉めく…立て続けに接近からのネイルガンで胸部を破壊し、動力炉を喪ったメックデッドの残骸をガリウスの前に放り出すと…ガリウスが呆然とした顔で俺を見る…少なくとも、対価には申し分ないだろう。
程無くして、ガリウスから〝技師の住処〟を手に入れた俺は…その場を離れ、件の技師の元へと地図を頼りに進むのだった。




