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Warmonger・Junklord〜電脳戦場の帰還者〜  作者: 泥陀羅没地
序章:屑鉄のアイン・ハート

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2/13

始まりの大地はガラクタ塗れ

本日の投稿です。

――ザザザッ…ザッ…ザザザッ…ザッ…!――


不愉快な電子音、遠くに響く悲鳴…死肉を漁る禿鷲とネズミ…山積みにされた鉄屑と…怪しく蛍光色に輝く液体が乱雑に入り乱れた様は、さながら現代が生み出した〝人類の怠慢〟を風刺画にした様に大地に延々と続いている。


「おいヴォイドッ、リーダーの号令が聞こえねぇのか!?」

「待てって!――今もうすぐで良い物を掘り出せそうなんだ!」

「言ってる場合かボケッ!――〝メックデッド〟共が来てる、逃げるぞ!」


そんな瓦礫と不衛生が広がる油と錆びの大地に生きるのは…鼠よろしく、コソコソと廃材の山からお宝を掘り出す〝ゴミ漁り〟か――。



――「「「※※※※※※!!!!!」」」――



人の手によって生み出され、謂れない罪によって自身の存在を否定されてしまった…哀れで恐ろしい怪物達のみである。


「ッ!?――来やがった!…逃げるヴォイド!」

「はぁ!?―――ッ…クッッッソッ、あの屑鉄共…!」


ネズミ達は逃げ、近付く鉄の足音から遠ざかる…そうした過酷な日常、それが毎日、毎時毎分毎秒続くこの場所を…【内界】の者達はこう忌み、嫌う。


【廃材の外界(ジャンク・ワールド)】と。




●○●○●○




――ピピッ!――


「『――※ジ、ジジじ、人格コア応答ッ、〝義体〟ほ、ホホ放出シマス!』」


そんな外界の、人気の無い廃材で覆われた一角…瓦礫の上に積み立てられた鉄の箱…〝電棺(でんかん)〟からそんな声と共に、1人の男が姿を表す。


「……おぉ、想像以上に酷い場所だなコレは」


――ソレが、男が目覚めて…〝俺(アイン)〟が目覚めて最初に溢した感想だった。




〜〜〜〜〜


――ググッ、グググググッ!――


自身の身体を動かし、全身の感覚を再度確かめる…あの白い空間同様、身体は現実と9割方再現されている。


「――ハァッ、うん…油臭い…嗅覚もちゃんとリンクしてるんだな…っと、ソレよりも――」


一先ず身体の調子を確認した後、俺は自身の身に付けた防具を一通り確認する。


――バサッ!――


コートの中を覗けば、シャツの上に纏われた無骨な鉄と合成樹脂で出来た軽鎧。


――――――

【下級・略奪者の軽鎧】品質:低

【装備可能部位:胴体】

〈補正〉

【物耐】:E

【HP】:100


――略奪者が身に着ける軽鎧、多くの場合盗品だが、稀に奪うより造る事に熱を注ぐ者が、有り合わせの素材で拵えたりもするらしい。――


――――――


――ガチャッ――


懐へ手を伸ばせば、見た目はハンドガンの装いをした、淡く青い光を放つ〝電気銃〟


――――――

【下級・エネルギー・バレット】品質:低

【装備可能部位:右腕、左腕】

〈性能〉

消費EP10/1発(特殊ダメージ8)


――略奪者が身に着ける武器、その中でも特に上等な物…今や型落ちな、あまりに粗末な欠陥品だが…その欠陥に魅入られ骨董品とするマニアも少なく無い。――


――――――


もう一つの手には、鋭く研がれた鋼鉄のナイフを持ち、構えてみる。


――――――

【下級・鋼鉄のナイフ】品質:低

【装備可能部位:右腕、左腕】

〈性能〉

物理ダメージ12


――遥か昔から汎ゆる事に用いられて来た武器、こうした武器を時代遅れと嘲る者も居るが、時としてソレは過ちとなる。――


――――――


「…後は、使い心地だが…」


装備の確認を終え、次に耳を澄ませると…程なくして、何処かから人の悲鳴が響き渡る…幸いか、距離事態はそう遠くはない様だ。


「都合が良いな、一先ず実戦運用を試すとしよう」


そう決め、戦闘の音が響く方角に向かう……。


「――序でに、手に入れた【スキル】も試すとしよう……確か、スキル名を唱えれば発動だったか?」


自身に与えられた手札の全てを、片手間に把握しながら…。


「えーっと……【加速(アクセル)】――うぉっ!?…直線の高速移動、思ったより癖が強いな、後は――」




○●○●○●




――ザッザッザッザッ!――


「ウッ!?――クッッッソが…!」


自身の赤熱し、焼け落ちた右腕の付け根を押さえながら…一人の男が瓦礫の世界を駆け回る…その顔には恐怖と焦りが入り混じり、悪態を吐きながらもその目は、背後からやって来る〝死〟を捉えていた。


――ガシャンガシャンガシャンガシャンッ――


其処には、ボロボロながらも恐ろしい速度で男を追跡する3体の機械人形達が、其々の武器をデタラメに振り回し、乱射しながら男を追いかける姿が有った。


「ッ――【ラプトル】共が冗談じゃねぇッ…しかもあの足、〝ランナーズ〟か〝プレデター〟か…!?…このままじゃ追い付かれる…!」


焦燥感に駆られながらも、男は駆け回る…しかし、疲れ知らずの機械と、人間が相手では持久力で勝てる筈も無く…徐々に男と機械人形達の距離は近づいて行く。


「――武器も取り落としちまったし…クソッ、頼むぜ神様、取っておきのワインを奢ってやるから助けてくれ…!」


そして遂に、機械人形達の無茶苦茶な攻撃が身体を掠めていくようになり…男が藁にも縋る思いでそう呟いた…その時。


――バッ!――


「ッ!?――お前…!」

「屈め、死ぬぞ」


男の目の前…瓦礫の山の合間から飛び出す様に一人の男が姿を表し…その銃口を男に向ける…そして。


「ッ――ヒィッ!?」


一瞬の躊躇いも無く、その引き金を引ききった。


――パンッ!――



●○●○●○


出会い頭に引き金を引いた…その瞬間俺の身体から何かが抜け落ちる感覚と共に、拳銃から青い発光体が射出される。


――バチィンッ――


そして、その発光体は俺の言葉に反射的に屈んだ男の頭上を通り抜け、その頭蓋を掴んで握り潰さんとしていた壊れた人型機械の頭へと直撃する…するのだが。


「※※※!」

「マジか、効いてない――【加速】!」


そのエネルギー弾は、人型機械の頭部に衝撃を走らせるだけに終わり…返す刀と言わんばかりに此方へ向けられたレーザーが、ほんの数秒前俺が立っていた場所へと撃ち込まれる。


――ザザザッ!――


「ヒィィッ、生きてるッ、俺生きてる!?」

「おいおいおい…〝スライム〟かと思ったら〝ドラゴン〟かよ、初手で戦う相手じゃ無いだろ」


ソレを、【加速】によって突き放した距離から観察し…次にその機械人形共を視界に入れ言霊を唱える。


「【解析眼(サーチ・アイ)】」


コレが、2つ目のスキル…効果は視界内にある〝クリアランス1〟の情報を開示できると言うもので――。



――――――

【メックデッド・ラプトル】〈クリアランス1〉

【暴走する廃棄物(スクラップ・ドロイド)】〈クリアランス1〉

【屑鉄(グラスメタル)】〈クリアランス1〉


――――――


この様に、【名前】と【所属】、【階級】の閲覧が出来る…スキルの質が悪いから、最低限の情報だけと言った風情だが、無いよりは良い。


「――おいお前、質問に答えろ…彼奴を普段どうやって倒してる」

「ッ!――し、知らねぇよ!…俺はただの〝漁り屋〟だ、〝掃除人〟じゃねぇんだ…!…メックデッドとは戦わねぇ、隠れて逃げるんだ!」

「チッ…まぁ期待はしてなかったよ…!」


大した期待も無く俺の腕にしがみつく男へ情報を乞うが、生憎役に立ちそうも無い…ならばと、俺は思考を切り替え…この状況での優先目標を設定する。


(装備差は歴然、コッチにゃ荷物が一人…囮にも成らんし、情報源として利用したい…コイツを連れて逃げるのがベスト(優先目標)…あわよくばこいつ等を始末して装備かドロップをかっ剥ぎたい)


――キョロキョロ――


道は2つ、レーザーで地形が抉れている、装備での足止めは…微妙か。


「良し決めた」


――ガシッ!――


数秒にも満たない逡巡を終え、メックデッド共が動き出すより早く俺は行動を開始する…その行動とはつまり――。


「〝逃げる〟ぞ、お前は適当に物でも投げて足止めしてろ」

「わ、分かった!」


脇目も振らずの逃走である。

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