4.国王の頼みごと
食事、というより水だけを飲んだ俺は暇つぶしに室内を物色していた。
ここは本当に王様の城なのかもしれない。
見慣れない豪華な刻印の装飾が施されている家具の一つ一つをエースはおそるおそる見て回った。
量りなのか、それともただの飾りなのか、金属っぽい素材のおもちゃが気になった。指でつつくと、ヤジロベエのように揺れながらバランスを取っている。触ったのは一回だけだったが、傾けた拍子にそれがポキッと折れて落ちてしまった。
近くに木箱があってそれを開けてみると、中には葉巻が詰められていた。さっき嗅いだ臭いはこれか。と、エースは思い、一本手に取った。引き出しを開けると機械式のライターも見つけた。
エースは葉巻を蒸かして椅子に戻った。
悪くない場所だ。
もしかすると、俺はこれから良い事が待っているんじゃないか。
なんだか生まれ変わって、新しい人生の道が開けたみたいだ。
あの兵士は拷問より酷いことが待ってると言っていたが、これがそう見えるか?
エースはふと有名な物語の一片が脳裏をよぎった。
森の中にぽつんとあるレストランで気前よくもてなされるが、最後に客が食べられてしまう。
そんなだった気がする。
そう思うとエースの顔が少し深刻になった。
国王……か。
しかし、なぜ……俺なんだ……?
さっきまで鉄格子のなかに居た俺だ。
そしてあの冷ややかな態度の兵士。
こんな豪華な城の部屋で召使いも寄こさず一人待たされる。
じりじりと葉巻の先端は燃えて灰になっていく。
あべこべすぎて、いくら考えても答えは出なかった。




