5.逃亡
俺は国王を知らない。
会えば何かわかるかもしれない。
なんで中世の貴族みたいな場所に居るのか。なんで俺を呼んだのか。
会えばわかる。
だから俺は待っている。あと5分。いや3分で、さっきの兵士が俺を呼びに来る。
しかし、腑に落ちないことがある。
このまま待って、俺は果たして幸せになれるのだろうか。
そんなことは 絶対にないと俺は自分で分かっている。
だけどもね、辛い思いをわざわざ待っている必要もないよね。
この先は地獄だ。
それは分かっている。
逆に言えば、何をしてもいいわけだ。
ここから逃げてみようかな。
そう思うと急に元気が湧いてきた。
自分の意志で動くというやりがいが自分に生きていることを実感させてくれる。
あそこに窓がある。
逃げるならあそこからだ。
窓を開けて、外を見た。
風が吹いている。
空は曇っていて太陽が見えなかった。
今は何時だ?昼間かもしれないし、夕方かもしれない。
薄暗い空の下、洋館が建ち並び、道路にはたくさんの人が歩いていた。
小さな公園で走っている子供たちの声がわずかにここまで響いている。
風は冷たかった。
ここは日本ではない。
それが分かった。
どうしようかな……本当に逃げようかな……。
日本のように、交番へいけば保護してくれるだろうか……。
下を見ると五階建てくらいの高さに俺は居る。
外壁は足場になりそうな装飾が付いていたから、なんとか降りれそうではあった。
しかし……止すか……。




