25話:道を歩いていると元同級生と遭遇する(ミリア視点)
「よし。家事は全部終わったわ」
私は部屋の掃除を終わらせてそう呟いた。これで今日のやる事は全部終わった。
なので私はこれから孤児院に遊びに行く事にした。軽く身だしなみを整えて自宅の貸部屋から出ていった。
―― バタンッ……
「あ、そうだ。せっかくだし子供達にお土産としてお菓子でも買っていこうかしら」
ジークさんから貰ったお金がそれなりにある。それは孤児院の子供達のために使ってくれと言われてるお金だ。
だからこのお金を使って孤児院の子供達に何かお菓子を買っていく事を決めた。
「それじゃあせっかくだし、今からお菓子とかスイーツが沢山売っているスレイカード通りに行ってみましょう」
スレイカード通りはここから南西部にある通りだ。色々なレパートリーのお菓子とか食材とかが売ってる通りだ。
という事で私は早速スレイカード通りに向かってみる事にした。
◇◇◇◇
それから程なくして。
私はスレイカード通りに到着した。
「わぁ、甘くて良い匂い。焼き立てのケーキの匂いかしらね?」
私はスレイカード通りにあるスイーツ屋さんを通りながらそう呟いた。ここら辺には甘くて美味しそうなスイーツやお菓子が売られてるお店が沢山あるんだ。
そしてこれだけ大量のお店があれば、子供達に喜ばれそうなお菓子とかスイーツが見つかりそうよね。
「ふふ、子供たちはどんなお菓子が気に入ってくれるか――」
「あはは、そうなんだよー……って、うわぁっ!? お前は幽霊女じゃん!」
「えっ? わわ! 本当だ! あの根暗女じゃないの!」
「ほ、本当だ! な、何でこんな所にあの女が!?」
「え?」
急に私を指さしながら大きな声を出してくる人達が現れた。それは学園の元同級生だった。
そしてそれは以前にスラップラード通りで遭遇した元同級生とは違うグループの元同級生だった。
今日は学校は休みのようで皆私服だった。とても高価そうなシルクの服を着ている。今の私の服装とは大違いね。
そしてそんな事を私が思ったと同時に、目の前の元同級生達は私を見て冷笑しながらこう言ってきた。
「はぁ。幽霊女とこんな所で遭遇するなんて気持ち悪いわね。というか服装もボロボロだし乞食みたいな恰好ね? 何それ服を買うお金もないの??」
「確かに言われてみれば全身ツギハギだらけの服ね。そういえばアンタって学園を退学になって、さらに実家からも追放されたんでしょ? という事はホームレスで生きてるのかしら? ふふ、そりゃあホームレスになって貧乏になってたら服なんて買える訳ないわよね」
「うわー、由緒ある貴族令嬢だったのに、今ではホームレスとか気持ち悪過ぎるな。はは、こりゃあ婚約破棄されて当然の女だな」
「……」
私は目の前の元同級生達から冷笑されながらそんな事を言われた。でも私の心はあまり動じていなかった。
前回は元同級生達から酷い事を散々と言われて泣くほど辛かったのに……それなのに今日の私は全然辛い気持ちにはならなかった。
うーん、でもどうして全然悲しくないんだろう……?
(……あぁ、わかった。これはきっとジークさんのおかげなんだ……)
ちょっと前までの私はずっと一人ぼっちだった。ちょっと前までの私を助けてくれる人なんて一人もいなかった。
だから私はいつも誰かから酷い言葉を貰っても誰も助けて貰えないので……私はそれを全部自分で受け止めるしかなくて……それで私はいつも凄く悲しい気持ちになったんだ。
でも今は違う。この数週間、ジークさんと一緒に過ごしてきた。ジークさんは本当に優しい人で、いつも私の事を助けてくれる素敵な人だ。
そしてそんな優しいジークさんと一緒に過ごしてきたおかげで、今までずっと一人ぼっちだと思っていた私の心の中にはいつの間にか……ジークさんがいつも付いてきてくれてるんだ。
今までずっと一人ぼっちで空っぽだった私の心の中に……今はジークさんがいるんだ。
(そっか。だからジークさんの服の匂いを嗅いだら落ち着いたのね……ふふ、なんてね)
私は心の中でそんな冗談を呟いた。でも私の心の中にジークさんがいるのは本当だ。だって今目の前の子達に酷い言葉を投げられても私……ちっとも辛くないから。
「……ふふ」
「? 何よ? いきなり笑って? もしかして馬鹿にしてんの?」
「うわ、幽霊女のクセに生意気だな。俺達を馬鹿にするなんて舐めてんのか?」
「ふふ。別に舐めてませんよ。でも……喧嘩を売るなら相手を選んだ方がよろしいのではないでしょうか?」
「……え?」
「は?」
「な、何だって?」
だから私は不敵に笑みを浮かべていきながら、目の前の元同級生達に向かってピシャリとそう告げていった。
さぁ、私もジークさんのように……カッコ良く乗り切ってみせます!




