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22話:ジークさんの服を畳んでいると(ミリア視点)

 孤児院に出かけてから数日が経過した。


 私はジークさんに自宅に住まわせて貰ってからだいぶ日が経った。ジークさんがお仕事に行ってる間、私は自宅の掃除をしたり、買い物や料理、洗濯などをしている。


 まぁつまり住まわせて貰ってる代わりに家事全般をしているという感じだ。


 私としては家事はとても楽しいから毎日やっていても全然飽きない。だけど……。


「……? どうしたミリア? 何かしかめっ面になってるぞ? 何か考え事か?」

「……え?」


 ジークさんと一緒に朝ごはんを食べていた時。ジークさんはキョトンとしながら私にそう尋ねてきた。


「あ、い、いや。その……ずっとジークさんの家に住まわせて貰っていて……何だか申し訳ない気になっていると言いますか……」

「なんだ。そんな事か。お前は俺の代わりに家事をしてくれてるんだから別に気にしなくていいだろ。ちゃんと自宅に住む対価として家事してくれてるんだから良いよ」

「そ、そうは言っても、家事をしてるだけで住まわせて貰っているのは優しすぎると言いますか……私としてはもっとジークさんに恩を返したい気持ちでいっぱいと言いますか……」

「だからそんなの気にすんなって。それよりもさっさと飯食えよ。温かい内に食った方が美味いぞ?」

「あ、は、はい。そうですよね。わかりました」


 という事で今の話は一旦切り上げて私達は朝ごはんを食べていく事に集中していった。


 そして朝ごはんを食べ終えてから程なくして。ジークさんはいつも通り冒険に出かけていった。


 なので私もいつも通り家事を進めていく事にした。まずは朝ごはんの洗い物を済ませていき、床の掃除をしていった。その後は昨日干していた洗濯物を回収して畳み始めていった。


「よいしょ、よいしょ……あ。ジークさんの服……ちょっと穴が空いてるわね……」


 ジークさんの服を畳んでいた時、ジークさんの服に穴が空いてる事に気が付いた。


 私はすぐに裁縫箱を取り出してジークさんの服の穴の修繕を始めた。以前に私の服の修繕のために糸と布を沢山購入しておいたので、修繕作業はすぐに行えた。


「……ふぅ、これで良し。って、あ……この服って……」


 穴を修繕した後、私はジークさんの服を広げて他に穴が空いてないか確認していった。


 するとその瞬間に私は気が付いた。この服は私が初めてジークさんと出会った時に、ジークさんが着ていた服だった。


「わぁ……何だか凄く懐かしいわ。それにしてもあの時、ジークさんに助けて貰ってなかったら私……どうなってたんだろう……」


 私はジークさんと初めて出会った時の事を思い出す。あの日は雨が降っていたのよね。


 私は婚約破棄されて屋敷からも追放されて途方に暮れていたんだけど……その時偶然通りかかったジークさんが、雨に打たれてる私を自宅に連れて行ってくれたんだ。


 でも私は最初はジークさんは私の身体目当てに助けようとしたのだと勘違いしてしまった。


 だってここは治安が悪いと言われてるスラップラード通りだし、それに男性は“そういう行為”が好きだっていうのは聞いた事があるし。


 そもそも私が婚約者に浮気された理由も『ミリアは逢瀬を一度もさせてくれない頭の固い女だったからだ』と言われてしまったし……。


 だからジークさんもそういう行為がしたくて私を自宅に招き入れたのだと思った。それに私はどうせ婚約破棄されて、家からも追放された身だし、学校でも周りからは『汚れた女』だと吹聴されてきてたので……もう人生どうでも良いと思っていた。


 だからもうどうなっても良いやと思って私は家に着いたらすぐに身体を差し出した訳だけど、そうしたら……。


―― 俺より年下のガキじゃねぇかよ。ガキの身体なんて興味ねぇし要らねぇよ。クソガキのくせにませた事言ってんじゃねぇよ馬鹿。


 そう言ってジークさんは裸になった私に“そういう行為”を及ぶ事はなく、むしろ怪我してる私の手当をしてくれたんだ。


 ジークさんはとても紳士的な男性だったんだ。


「最初に会った日からジークさんはいつもずっと優しくて素敵で、本当に素晴らしい人格者よね。それに……すんすん。ふふ、それに凄く安心する匂い……って、あ、あれっ? わ、私は今何を……?」


 その時、私はふと何も考えず……気づいたらいつの間にかジークさんの服をすんすんと嗅いでいた。


 しかもそんなジークさんの服を嗅いで安心する匂いだと思ってホッコリとしてしまっていた。


「わ、わわっ……ちょ、ちょっと待って……!? わ、私……な、なんでジークさんの服を嗅いじゃったの? そ、そんなはしたない女になったつもりは無いのに……! あ、うっ……うぅっ……!」


 私は急に恥ずかしくなって、そのまま顔を真っ赤にしながら俯いていった。それにしても何で今ジークさんの服を無意識で嗅いでしまったんだろう……?


 こんなのどう考えても貴族令嬢としてはあるまじき行為なのに……で、でもだって……ジークさんの服の匂い……凄く安心する匂いなんだもの……。

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