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20話:ミリアと一緒にタピオカミルクを作っていく

 俺はミリアと一緒に孤児院の中にある厨房に入った。


「よし。それじゃあ早速作り始めていく事にしようぜ。まずは何から作業を始めればいいんだ?」

「あ、はい。作り方は凄く簡単ですよ。雑貨屋さんで購入してきた、その乾燥したタピオカをお湯で茹でて元に戻すだけです。その後は黒蜜で味付けして牛乳に混ぜれば完成です」

「へぇ、それだけで良いのか。ってかこんなビーズみたいな小さい粒をお湯に入れるだけでタピオカになるのか?」

「はい。そうなります。でもお湯で戻すのには30分以上はかかってしまうので、火の番がちょっと大変ですけどね」

「ふぅん。ま、でも火の番をしてるだけで大丈夫なら別にいいだろ。それじゃあ早速まずは鍋に水を入れて……」


 という事で俺はミリアの指示に従ってテキパキと行動していった。


 そして沸騰したお湯の中に乾燥したタピオカを放り込んでいき、それが元に戻るまでミリアと厨房の中でノンビリと雑談しながら待つことにした。


「そういえばさっきミリアはグラウンドでガキ達に向けて草笛を吹いてたけど、ミリアってあんな事も出来たんだな」

「は、はい。昔お母様と一緒に遊んでた時に草笛を教わったんです。その時私はお母様の草笛を聴いて凄いと思って喜んだ記憶があったので、もしかしたら子供達も喜んでくれるかなって思って、それで私も草笛を披露してみたんです」

「へぇ。あの草笛はミリアの母親から教わったのか。ミリアの話を聞いてる限りお前の母親って多才な人だったんだな。それとミリアと母親が凄く仲良しだったというのもよく伝わって来るな」

「はい、そうですね。お母様はいつも独りぼっちだった私と遊んでくれる優しいお母様でしたから。だから私はお母様の事が本当に大好きなんです……」

「ふぅん。母親の事がねぇ……」


 ミリアの話から母親との仲がとても良いというのが伝わってきた。


 だけどそうなると、とある疑問が頭に浮かんでいった。その疑問はもちろん……。


(それなら貴族家から追放される前に、ミリアは母親に助けを求めれば良かったんじゃないのか……?)


 俺は当然そんな疑問を頭に浮かべていった。だけど俺はその質問をミリアにぶつける事はしなかった。


 だって何となくだけど……今一瞬ミリアの表情が曇ったように見えたんだ。だから俺は敢えてミリアの母親についてそれ以上深く尋ねる事はしなかった。


◇◇◇◇


 それから一時間後。


 タピオカが完成したので俺は孤児院にいるガキ共を一斉に食堂に集めた。


「おら。出来たぞ。お前ら。並べ並べ」

「わー! 凄く甘くて良い匂い!」

「何だか美味しそうな匂いだね!」

「なんかプニプニとしてて可愛い!」


 ガキ共はタピオカミルクが入ったグラスを見ながら皆嬉しそうにはしゃいでいった。


「よし。全員手に持ったな。それじゃあ今日オオヤツだから味わって飲めよ。そんじゃあいただきます」

「「「いただきまーす!」」」


 そう言って俺達は皆でストローに口付けていき、一斉にタピオカミルクを飲み始めていった。


「んく、んく……んん! 凄く美味しい!」

「わわっ! こんなに甘いんだ! 凄く美味しいよー!」

「僕、牛乳苦手だけどこれなら幾らでも飲めるよ!」

「これお姉ちゃんとお兄ちゃんが作ってくれたの!? 凄い凄い! ありがとう!」

「ふふ、どういたしまして。そんなにも喜んでくれると作った甲斐があったわ」


 ガキ共はタピオカミルクをゴクゴクと飲みながら、嬉しそうな表情で俺とミリアに感謝を伝えていった。


 するとミリアも嬉しそうな表情を浮かべながらガキ共にそう言っていった。


「んく、んく……ぷはぁっ。うん、これマジで美味いな。露店通りで飲んだタピオカミルクとほぼ同じ味がするな。これが家でも作れるなんて本当に凄いじゃん……って、あれ? ミリアはタピオカミルクを飲まねぇのか?」

「え? あ、あぁ……その……」


 俺はふとミリアの方を見ながらそう尋ねた。良く見たらミリアはタピオカミルクを手に持ってなかった。


 するとミリアはちょっとだけ苦笑しながらこう言ってきた。


「実はその……ちょっとだけタピオカの量が足りなかったので、ギリギリ全員分のタピオカミルクが作れなかったんです。ですから私の分は皆にあげたといいますか、まぁそういう感じです。あ、あはは」

「あ、そうだったのか? それは全然気づかなかった。すまん。ミリアだけ足りない状態にしちまって」

「あ、い、いえ、ジークさんは全然気になさらないでください! それに私は昔にタピオカは何回か飲んだ事ありますし、それならまだ一度も飲んだ事の無い子供達に沢山飲んで貰った方が私としても嬉しいですから!」

「ガキ共の事を思ってそう言ってくれるのは有難いけど、でもここまで一緒に作ってきたのに、最後にミリアだけ飲めないなんて辛いだろ。あ、そうだ。それじゃあさ……俺のタピオカミルクをお前にやるよ。ほらよ」

「え……えっ!? ふぇっ!?」


 そう言って俺はミリアにタピオカミルクが注がれているグラスを差し出してみた。するとミリアは何故か急に思いっきりビックリとした声を出してきた。


 それとミリアの顔がちょっぴり赤くなってる気もする。一体どうしたんだろう?

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