18話:久々に孤児院にやって来た
それからさらに数日後。
俺はミリアを引き連れて王都の端っこにやって来た。ここには俺が今まで住んでいた孤児院がある。
「ほらよ。ここが俺が育った孤児院だ」
「ここが……えっと、なんというか、その……中々に趣のある孤児院なんですね」
「そんな頑張って褒める必要はねぇよ。ただのオンボロ孤児院だからな。まぁいいや。さっさと中に入ろうぜ」
「あ、は、はい。わかりました」
という事で俺達は早速孤児院の中に入った。今日やって来た理由はもちろんタピオカという飲み物をガキ共に飲ませるためだ。
―― ガチャッ……
「ただいまー。誰かいるかー?」
「え? あ、ジーク兄ちゃんだー! 皆ー! 兄ちゃんが帰ってきたよ!」
「えっ? 本当に!? わわ、ジーク兄ちゃんだ! お帰りー!」
「兄ちゃんお帰りー! とりゃあ!」
「お兄ちゃんお帰りなさいー! とりゃっ!」
「うわっ。いきなりタックルしてくるんじゃねぇよ。馬鹿やろう共が!」
「あはは! 兄ちゃんのお腹すっごくカチカチになってる! また成長してるねー! 皆―! 兄ちゃんのお腹触ってみてよー! 凄いよー!」
「えっ、本当に! 触りたい触りたいー!」
「私も触るー!」
「あ、こら! オメェらふざけ……げふっ!」
そう言いながらクソガキ共は俺の身体に目掛けて一斉にタックルしてきた。何だか日に日にガキ共のヤンチャ度合が凄くなってるんだけど。
というかもっと年上に敬意を払えよコイツら。クソババアは一体どういう教育してんだよ??
「……ふふ。ジークさんは子供達から愛されてるんですね」
「げほげほっ。わ、笑ってねぇで助けろよ」
「えー? 兄ちゃん誰と話してるの? って、わわ! 兄ちゃんが女の子連れて来てる!?」
「あ、本当だ! 初めて見る人だ!」
「お姉ちゃん誰なのー?」
「凄く綺麗なお姉ちゃんだー! どこかのお姫様とかかなー?」
「え? え?」
―― ワイワイ、ガヤガヤ!
タックルしてきたクソガキ共は一斉にミリアの方に群がり始めていった。興味がすぐに移り変わる辺りやっぱりガキだな。まぁタックル地獄から免れて助かったけど。
「え……えっ? え、えっと、その……」
「ビックリしてないでさっさと自己紹介していけよ」
「え? あ、は、はい。そうですよね。えっと、私はその……ミリアと申します。よろしくお願いします」
「ミリアお姉ちゃんって言うんだね! よろしくね!」
「ミリア姉ちゃんよろしくねー」
「お姉ちゃんよろしくー! それでそれで? ミリア姉ちゃんはジーク兄ちゃんとどんな間柄なの?」
「あっ! 気になる気になる! ジーク兄ちゃんがここに人を連れてきたの初めてだから気になるよ! お姉ちゃんとお兄ちゃんの関係を教えてよー!」
「え? どういう関係? え、えっと、それはまぁ何と言いますか……」
「ふふん。男子は皆おこちゃまねー。そんな事もわからないのー? この人はあれよ! ジークお兄ちゃんの奥さんなのよ!」
「え……え、ふ、ふぇっ!? お、奥さっ!?」
「そうよそうよ! こんなの誰がどう見ても結婚挨拶をしにここに来たって事でしょー! はぁ、全くもー、男子はそんな事もわからないなんておこちゃまなんだからー!」
「え、ジーク兄ちゃん結婚したの!? 凄い凄い! こんな綺麗なお嫁さんが出来た何て凄いよー!」
「お、お嫁しゃんっ!? ふ、ふぇぇっ!?」
そんな感じでガキ共は囃し立てていった。ミリアは顔を真っ赤にしながらあたふたとしている。とりあえず俺はミリアに助け船を出す事にした。
「ちげぇよ。マセガキ共が。こいつはあれだ。まぁダチみたいなもんだ」
「えー? そうなのー? なんだー、ガッカリだなー」
「ちぇっ。兄ちゃんの奥さんだったら、私達にとってもお姉ちゃんになるから嬉しいなって思ったのにー。お姉ちゃんと一緒に遊びたかったなー」
「いや、何を言ってんだよオメェら。そんな俺の嫁かどうかで遊ぶ相手の判断を決めるなよ。というかこいつは俺のダチなんだから、お前らにとってもダチって事になるだろ。なぁミリア?」
「ふぇっ? あ、は、はい。そ、そうですね?」
「ほらな。ミリアはお前らの事をダチだって言ってくれてるぜ。だからこいつは今からお前らといっぱい遊んでくれるってさ」
「えっ? 本当!? やったー! それじゃあ今から遊ぼう!」
「お姉ちゃん遊ぼう遊ぼう!」
「あそぼー!」
「え? え? え、えっと、それはまぁ良いんですけど……でも私は今日はジークさんと一緒にタピオカを……」
「それは後で良い。とりあえず俺はクソババア……じゃなくて、院長に挨拶しに行ってくるから、その間ミリアはここにいる悪ガキ共と遊んで待っててくれ」
「院長先生に会いに行くんですか? そ、それでしたら私も一緒に挨拶に行った方が……」
「挨拶なんて別に要らねぇよ。そんな事よりもここにいる悪ガキ共と遊んでくれる方がクソババ……院長的にも有難いだろうしさ。って事でそんじゃあちょっと行ってくる。ミリアはコイツらの事よろしくな。お前ら。姉ちゃんのいう事をちゃんと聞いて楽しく遊んでろよ」
「うん、わかった! それじゃあお姉ちゃん、外で遊ぼうー!」
「こっちだよこっちー!」
「わ、わわっ! は、はい、わかりました……!」
そう言ってミリアはガキ共に手を引っ張られながら、孤児院の外にあるグラウンドに向かって行った。
俺はその様子を見届けてから院長室に向かった。




