17話:ミリアにタピオカ作りを依頼する
それからしばらくして。
「へぇ、これがタピオカっていう飲み物なのか。何だか黒々としてるけど本当に甘いのか?」
「はい。そうです。凄く甘くて美味しいですよ」
俺達は露店通りにあるベンチに座りながら話をしていた。俺達の手には先ほど買ってきたタピオカの飲み物を持っている。
ちなみに俺はタピオカミルク。ミリアはタピオカミルクティーだ。どっちも定番らしい。
それにしても何だか見た目が黒々としていてあんまり甘そうには見えないんだけど……ま、実際に飲んでみなきゃわからないよな。
という事で俺は早速そのタピオカミルクを飲んでみる事にした。
「よし。それじゃあ早速頂きます。んく、んく……えっ? 本当だ……このタピオカってヤツ凄く甘くて美味しいな!」
「はい、そうなんです。凄く甘くて美味しいですよね。これがミルクや紅茶に合うんですよ。他にもジュースとかと組み合わせても美味しいですしね。かなりオススメの商品ですよ」
「ふむ。なるほど。確かにこれはジュースと合わせても美味しそうだな。でも価格はミリアも言ってたけどちょっと高いから気軽に何度も買えないな。時々贅沢で飲めるくらいだな」
タピオカミルクは一杯で銀貨4枚もした。大肉串は銀貨1枚で買えるから、それと比べたらかなり高価な飲み物だというのを実感した。
だから確かにタピオカは甘くて美味いのだけど、あんまりガキ共を頻繁には連れてこれない感じだな。これ飲ませるくらいなら大肉串を食わせた方が沢山のガキに食わせれるし。
「そうですね。タピオカは海外の飲み物ですから、希少性もあって高いんだと思います。でも材料は少ないから、意外と作るのは簡単だったりするんですけどね」
「ふぅん。そうなのか。作るのは意外に簡単ね……って、え? ミリアってタピオカ作れるのか?」
「まぁ作った事は一度もありませんけど……でも作り方は何となくはわかるので、多分私でも作れると思いますよ。あ、良かったら今度家で作りましょうか?」
「ま、まじか!? そんな海外の食い物まで作る事が出来るなんて凄いな! それじゃあ是非とも今度タピオカを作るのお願いしても良いか? それも出来るだけ沢山作って欲しいんだけど、それって可能か?」
「沢山ですか? はい、もちろん材料さえあれば可能ですけど……でもそんなに食べるんですか? タピオカって結構お腹が膨れるので、あんまり大量には食べれないと思いますよ?」
「いや違う違う。俺が大量に食いたい訳じゃねぇんだ。孤児院のガキ共にも食わしてやりてぇなって思ってさ。実は俺、元々はこの王都の孤児院で生まれ育ったんだよ」
「え? そ、そうだったんですか?」
俺がそう言うとミリアはちょっとだけビックリとした表情を浮かべてきた。まぁでもそりゃあ両親がいない事を告白されたらそりゃあビックリとするか。
という事で俺はミリアのビックリとした表情はあまり気にせずそのまま話を続けていった。
「あぁ、そうなんだよ。そんで孤児院にいるガキ共は皆甘い物とか大好きだし、このタピオカを飲んでみたいって思うに違いないって思ってさ。だからミリアに作って貰えるなら是非ともガキ共のために……って、どうしたよ? なんでそんなニヤニヤと笑ってるんだ?」
ミリアの表情に気にせず話そうとしたんだけど……でもミリアはビックリとした表情ではなく、何故か急にミリアはニヤニヤと笑い出していた。
何でビックリとした表情じゃなくてニヤニヤと笑ってるんだろう? 俺はそう思ってミリアに率直に尋ねてみた。
「……いえ。ジークさんはいつも眉間に皺を寄せている事が多いのですが、孤児院の子供達の話をし始めた途端に、表情が柔らかくなったような気がしたので。ですからジークさんは孤児院の子供達の事が大好きなんだろうなって思って少しだけ微笑ましくなっちゃいました。ふふ」
「はぁ? 何言ってんだ? 俺はガキ共なんて嫌いだからな。いつもピーチクパーチクうっせぇし、わがままばっかりでうざいヤツらばっかりだからな。だから変な勘違いをするなよ?」
「ふふ。そうですね。どうやら私の勘違いのようでした。わかりました。それでは私も孤児院の子達のために一肌脱ぎますよ。孤児院の子供達のために美味しいタピオカを作ってあげますよ」
「本当か。そう言ってくれると助かる。ありがとう。ミリア」
「いえいえ。全然構いませんよ。よし。そうと決まれば、それじゃあ早速材料を買いに行きましょうか、ジークさん」
「あぁ、わかった」
という事で俺達はそう言ってベンチから立ち上がり、それからすぐに雑貨屋に向かってタピオカの材料を買い進めていった。




