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オタクの友達が性転換しました  作者: 藤桜


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15/17

第15話 《初めての声》

 本日、ついにこの時が来た。


「宿題終わったーーっ!」

「おつかれーっ!」


 夏休みも残り1週間以上残し、今日ようやく夏休みの宿題を全て終わらせた。

 宿題と言う名の束縛から解き放たれた解放感は凄く気持ちが良いものだ。

 こんなことなら柚月みたいに無理してでも早めに終わらせるべきだった。

 

「残りの夏休みは超満喫するぞ! やりたいことやりまくる!」

「やりたいことって具体的に何するの?」

「それは―――……柚月、どこか行きたい場所とかやりたいことあるか?」

「ノープランだったのね。行きたいところ、やりたいことかぁ……あっ、久々にカラオケ行きたい!」

「カラオケか。俺も久しぶりだな。そんじゃ早速行くか」


 俺達は自転車でカラオケがある漫画喫茶へ向かった。

 炎天下を走ること十数分、ようやく漫画喫茶に到着。

 この漫画喫茶にはカラオケブースの他にダーツやビリアードなどもあるため毎回人が多い。特に連休中は激込みになることで地元ではそこそこ有名だ。

 漫画喫茶に着くと駐輪場には夏休みだけあって多くの自転車が停まっている。

 やはり予想通り店内も結構混んでいるみたいだ。


「なんだか人多いね。他にもカラオケ店あるのになんで皆ここに来るのかな?」

「ここ学生割引が大きいからな。しかも夏休みだとさらに値引きされるから混んでいてもここに来る人多いんだよ。カラオケの部屋空いていればいいけど」


 店に入り受付へ向かった。カラオケの空室状況を見てもらうと何とか一部屋だけ空いていた。待たずに入れるみたいだ。

 俺達は指定された部屋へ向かった。

 カラオケブースに入るとすぐにドリンクバーがあるため部屋に行く前に飲み物を持って行くことにした。


「先に飲み物持って行くか。柚月はどれにする?」

「ん~……僕はメロンソーダーのカ〇ピス割りで。こうすると微炭酸になるんだよね」

「それじゃ俺も同じのやってみるかな」


 飲み物を持ち指定された部屋に向かった。通路を歩いていると各部屋から微かに歌声が聞こえてくる。

 一番奥の部屋に着き入るといつもより少し狭めの部屋だった。少人数用の部屋しか空いていなかったみたいだ。入るなり柚月はエアコンを点け、ソファに座り、備え付けのタブレットを開いた。自分の家かってくらいくつろぎ始めている。


「色々最新の歌増えてるよ。今ならあれもこれも歌えるかも。奏汰は何歌う? 曲入れるよ」

「そうだなぁ……あっ、歌う前にいつもの採点機能ONにしといて」

「OK~。じゃぁいつもの点数勝負しようよ。3曲歌った合計点数が多い方が勝ちね」

「おぉ、いいぞ」

「それじゃぁ僕から歌わせてもらうね。えっと曲は―――」


 柚月は何を歌うか決めていたみたいだ。すぐに3曲入れ終わっていた。

 曲が始まると柚月は楽しそうに歌い始めた。その歌はカラオケに来るたびに必ず歌っていたから聞きなれているがこの声で聴くのは初めてだ。

 いつもは声が出なくて苦戦していたところも難なく歌えていた。

 俺は曲を入れる手が止まり柚月の歌に聞き入ってしまっていた。


「これからも歩いて行こ~――……♪」


 歌い終わるとカラオケの採点が始まりなんと1曲目から97点を出した。今まで95点を超えることは無かったから驚きだ。

 俺も負けてられない。今までで一番得意かつ自己最高点数を記録した3曲を選んだ。

 お互い3曲歌い終わりその結果、柚月の合計は291点。対する俺は278点。圧倒的に柚月の勝ちだ。


「僕の勝ちーっ!」

「くっ……全曲95点超えは勝てないって」

「僕も驚きだよ。いつも通り歌っていたつもりなんだけどね。やっぱり声が違うからかな?」

「そうなのかもな。さてと次は何歌うかな?」

「これなんてどうかな? 奏汰も観てたアニメのエンディングだから分かると思うよ」


 そう言ってタブレットを見せてきた。

 そこには確かに俺も知っている歌のタイトルが書かれていた。

 もちろんフルサイズで何回も聴いたことあるため、歌えないことは無い。

 しかしこの歌は確か―――。


「これデュエットじゃなかったか?」

「そだよ。今なら僕達で歌えるかなって思ってね。始まるよ。はいっ、マイク持って」


 曲が始まり突然のデュエットが始まった。

 まさか人生初めてのデュエットがここで実現するとは思っても無かった。

 この歌はお互い愛を確かめるかのようなちょっと恥ずかしい歌詞だ。

 そんなことを気付いていないのか気にしていないのか柚月は楽しそうに歌っている。俺は逆になんだかドキドキする。ただのデュエットなのになんでだろう? やっぱり歌詞のせいなのか?

 1曲がとても永く感じた。

 

「デュエットもなんだかいいね。次は何の歌にしようかな~?」

「デュエット以外にしてくれ……」


 さすがにデュエットはなんだか気恥ずかしい。

 俺達は代わる代わる歌った。柚月は主に女性歌手の歌を歌っている。時々男性歌手の歌を歌うが逆に可愛くなっていて面白い。こういう歌も悪くはない。


「結構歌ったーー! なんだかお腹空いてきちゃった」

「何か頼むか? 俺はいつものポテトとフライドチキンのセット食うけど。ほらタブレット」 

「ありがと。それじゃぁ僕は―――このデラックスパフェにしよっと」

「それってパフェで一番高いやつじゃないか? 前回来た時食べたいけどお金が無いとか言ってた気がするんだけど」

「それは大丈夫。これ見て」


 柚月はタブレットのメニューページを見せてきた。そこにはレディースデイで割引と書いてあった。

 以外にも女の子になったことを受け入れそれなりに楽しんでいるみたいだ。

 注文が終わりしばらく待っていると料理が運ばれてきた。

 柚月はすぐにパフェを小さい口いっぱいに頬張った。


「んーっ美味しい~!」


 幸せそうに次から次へとパフェを口へ運んで行った。その姿はとても可愛らしかった。

 しかしなんでだろう? 心の奥が少しモヤモヤする。

 時々柚月を親友ではなく一人の女の子として見てしまう自分が居た。

 

「奏汰? ぼーっとしてどうしたの?」

「あ、いや。次何歌おうかなって。柚月もまだ歌うだろ?」

「僕はもう少し休憩するよ~」

「いつもより歌った数少ないんじゃないか?」

「本当はもっと歌いたいんだけどね。でもこの身体になって体力が落ちているから」

「そういうわけか。それじゃぁ連続で歌わせてもらうよ」


 柚月がパフェを食べている間、俺は一人で歌い続けた。

 何曲か歌い終わりふと柚月の方を見るとパフェを食べ終わり満足したのか壁に寄り掛かりながら寝てしまっていた。

 その顔はとても幸せそうだった。

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