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魔法少女コヴェナント  作者: さんどまん
第四章:PvP
47/52

第47話 神奈川の魔法少女2

 羽根付きのランドセルにパステル調のスニーカー。


 しかし、どこか不釣り合いなファッションに見えるのは、全身に食べカスや汚れが付いているからだった。匂いも香水で誤魔化してはいるが、風呂に入っていない人間の匂いだ。


 黒髪の制服少女はさつき、パステルカラーの少女はアキラと名乗った。


 二人とも中学生で、契約済みの魔法少女だった。金髪ジャージの子は魔法少女ではないようで、気怠そうに離れていった。


「嬉しい~!♡ アキラたちも始めたばっかりでぇ~♡ 先輩たちは、どんな感じなんですかぁ?♡」


「ど、どんな感じ?」


「プロフ見せてくださいよぉ~!♡」


 アキラに言われ、ひなたはスマホの画面を見せた。レベル5になったばかりのサンライズハートを見て、アキラは目を輝かせた。


「わぁ~♡ かっこいい~!♡ ニューエラじゃないですかぁ~♡ もう解放したんですかぁ?♡」


「解放? ウルトのこと?」


 アキラは目をぱちくりと瞬くと、激しく頷いた。


「……うんうん!♡ どんなウルトなんですかぁ?♡ 絶対かっこよさそぉ~♡」


「ヘリオスケインっていう光の剣が出るみたいな感じだよ。アキラちゃんのは?」


「私のは、ちょっとキモいかも~♡ なんかぁ悪魔変身みたいなぁ♡」


 ひなたは笑顔になった。うさぎ以外の魔法少女と話すのは初めてだった。


「うわぁ、かっこいいね! さつきちゃんは?」


「あたしもニューエラッス。ウルトは内緒」


「うさぎ先輩のも見せてくださいよぉ~♡」


 アキラがにじりよってくる。思わずスマホを隠そうとしたうさぎだったが、アキラに抱き着かれ、ぺたぺたとスマホを触られてしまった。


「あ、う、わわ……」


「あぁ~♡ うさぎ先輩、もしかしてコミュ障じゃないですかぁ~♡ アキラと一緒だぁ~♡ ねぇ~♡ プロフ見せてくださいよぉ~♡」


 うさぎの足元から今までにない勢いで水位が上がって来た。


 うさぎの本能が、真っ赤に点灯していた。この子は、ヤバい。絶対に関わったらヤバい。うさぎが最も苦手とする人種だ。


 ある意味で同族嫌悪かもしれないが、うさぎはアキラが生理的に無理になった。


 そして、無理になった相手へのうさぎの対処法は2つしかなかった。


 逃避か、恭順か。


 身体にがっしりと抱き着かれている状態では、その場から逃げることもできなかった。アキラは手慣れた様子で、うさぎのスマホをギリギリ強奪にならない力強さで奪いとった。


「わっ♡ うさぎ先輩、ポスモだ~♡」


「ポスモ?」


「マジ? レアすね」


 アキラはうさぎから奪ったスマホでプロフをじろじろと眺める。それから申し訳なさそうに言った。


「あ~♡ うさぎ先輩、まだレベル4なんだぁ……♡ ごめんなさい♡ 見られたくなかったよねぇ~……♡」


「あ、いえいえ……」


 ようやくスマホが手元に戻ってきた。うさぎはげぼを吐きそうになりながらスマホをしまった。


 ひなたが二人に尋ねた。


「ニューエラとか、うさぎのポストモダンとかっていうのは、あなたたち何か知ってるの?」


 さつきが黒髪をかきあげながら答える。


「うちらも聞いただけッスけど、戦闘スタイルの違いらしいですよ」


「そーそー♡」


「そうなんだ……。二人ともレベルはいくつくらいなの?」


 アキラとさつきが目を見合わせた。さつきが指でピースを作って言った。


「7ですね」


「すごい!」


 さつきは枝毛を弄りながら言った。


「まぁでも、レベルってぶっちゃけあんま関係ないッスよ。HPが100か200違っても、勝てない時は勝てないんで」


「つまり、もう他の魔法少女と戦ったことがあるんだね」


「まぁなんつーか、はい。てかそういう意味じゃ、うちらの方が先輩になるか。センパイたちはけっこう()ってんですか?」さつきが鼻で笑った。


「魔法少女同士では戦ったことないんだよね~」


 アキラが笑顔になった。さつきは壁にもたれかかり、スマホを操作し始めた。


「えっ♡ じゃあじゃあ、アキラたちと練習してみませんかぁ~?♡」

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