第32話 レベリング2
『保護クリフォト コード"廃都東京メルトダウン" 位置座標:ランドマーク防衛センターD-19』
「ムーニーバニー! そっちいったよ! 振り下ろして!」
「は、はいぃぃぃぃ!」
高速で振り下ろされた両刃斧が、コンクリートの大地を砕いた。
ムカデ型の多脚兵器が、エンジンを吹かすような轟音を立て、身をくねらせてその一撃を避ける。腹の1つ1つに備えられたスリットから電磁ペレットが飛び出した。
「うわわっ、わっ! いやぁぁぁぁぁぁッ!」
飛来するそれらをムーニーバニーは全て避けた。そのまま銀色の跡と兎の足跡を残して、どこかに逃げてしまった。
サンライズハートはため息をつくと、床に突き刺さった両刃斧を引き抜き、ムカデ型ロボットを両断した。
「よし、次いこう! 次!」
『Congratulations! クリフォト制圧完了!』
ムーニーバニー レベル2
EXP131 +65点→196点 NEXT 300
サンライズハート レベル3
EXP339 +200→539点 NEXT 600
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『保護クリフォト コード"地獄" 位置座標:黄昏の戦場A-12』
「ムーニーバニー、天使を抑えてて!」
「は、はいッ!」
硫黄と灼熱の熱波が広がるこのクリフォトでは、炎の剣を持つ天使と鞭を持った牛の悪魔が1対1で殺し合っていた。
だが、二人の魔法少女が姿を現すと、そのそれぞれが魔法少女に向けて攻撃をし始めたのだ。
天使は燃え盛る炎の剣を振るい、低空からムーニーバニーを追いかけ続けた。
一方で牛の悪魔は、配下の銃剣を持った悪魔の兵隊を呼び出し、サンライズハートを追い込んだ。
「ムーニィ……サンライズゥ……ブレードッ!!!!」
サンライズハートは借りた両刃斧を振り回して、周囲を囲む悪魔の兵団を切り伏せた。そして牛の悪魔の突撃を軽々とかわし、その脚を両断した。動きを止められた悪魔は伏してのたうち回っている。
そこに、逃げ回っていたムーニーバニーと天使が姿を現した。
天使は瞳孔のない白い眼で、ムーニーバニーの背中に炎の剣で一撃を放ってくる。だが、剣が振るわれる度にムーニーバニーの背から青白い炎が迸り、斬撃を素早く回避した。
逃げてきたムーニーバニーと、両刃斧を構えたサンライズハートの視線が交差した。二人はお互いに頷き合う。
「לֹא תִמָּלֵט!」
なんと天使の口から言葉が放たれた。サンライズハートは速度のついた天使に向けて、そのまま両刃斧を投げつけた。
天使は額から両断され息絶えた。
「今なんか喋ってなかった……!? 追ってきたから斬っちゃったけど」
「こ、この人たち、モンスターじゃないのッ……? まさか言葉、通じるの?」
「どうなんだろ? 最初の、廃ビルの時も人型っぽいのはいたけど、問答無用って感じで襲いかかってきたし」
うさぎは怯えた様子で横たわる翼の生えた巨体へと視線を向けた。
「でも天使って普通は良い側だよね……。それがなんで、こっちに攻撃して来たの?」
サンライズハートは、真っ二つになった天使の死体があっという間に羽根だらけになっていくのを見届けた。
「……いや、やめよ。きっと、鳴き声みたいなものかもしれない。向かってくるなら、倒そう」
そう言ってサンライズハートは、投げた斧を回収した。天使の死体を踏まないように飛び越え、ムーニーバニーに手渡した。
「あ、ムーニーバニー。そっち、悪魔のやつまだいるから。今日こそ倒してみようよ!」
サンライズハートが指さす先には、湯気立った黒い血液を大量に流しながら、こちらを睨みつける牛の悪魔がいた。ムーニーバニーが武器を持って近づくと、唾を飛ばしながら激しい咆哮を浴びせてくる。
「ほ、ほんとうにやらなきゃ駄目ですか……」
「大丈夫だよ! いけるいける!」
ムーニーバニーは目をつぶると、両刃斧を八相に構え、悪魔の近くに立った。
悪魔が落雷のような巨大な咆哮をあげる。ムーニーバニーは悪魔の叫び声に吹き飛ばされないようにそこにじっと立っていた。
ちら、と目を開くと、死にかけの家畜みたいな様子で悪魔がぜいぜいと息を切らしている。
その黒く丸い瞳はひどく無防備で、ムーニーバニーのことを見上げている。どこか慈悲を求めているようにも見える。
「ご、ごめんなさい……!」
ムーニーバニーは両刃斧を振り下ろした。悪魔は額から真っ二つにされた。
『Congratulations! クリフォト制圧完了!』
ムーニーバニー レベル2
EXP196 +100点→ 296点 NEXT 300
サンライズハート レベル3
EXP339 +115点→ 454点 NEXT 600
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『保護クリフォト コード"氷漬けの炉端" 位置座標:溶けない心の傷跡C-3』
「ムーニーバニー、周りの小さいのをお願い! 倒せそうだったら倒してッ!」
「り、了解ッ!」
猛吹雪の雪原地帯には、日輪の輝きを背負った魔法少女と白いドラゴンが対峙していた。そのドラゴンの周囲から次々と生まれる氷のクリスタルを、ムーニーバニーが八相に構えた両刃斧で破壊していく。
――壊せる。
ムーニーバニーは気付いた。あまり動かず、無防備なものなら自分でも攻撃できる。
雪原に大きな兎の足跡を残しながら、ムーニーバニーは駆け回った。そこに白い竜が大きく息を吸い込み、凍てつくブレスを吐きだした。
銀色の煌めきをなぞるように、雹と氷塊を爆発させたような白い吐息が雪原の上を覆い尽くす。
ブレスを吐きながら、ドラゴンは翼を羽ばたかせ始めた。
そして、霧と吹雪の中、視界はさらなる白一色で染まっていく。ムーニーバニーは雪の重みと寒さで速度が奪われていることに気付いた。吹雪の中では、いつものような速度が出せない。
「くぅッ――!」
四方が全く分からないまま、霧の向こうに竜の影だけが見えた。
ぼんやりとと灯った2つの赤い瞳が、こちらを見据えている。ドラゴンの首が大きくしなり、ブレスを吐く体勢に入った。
「危ないッ!」
吹雪の中から日輪の輝きが飛び出してきた。
ホワイトアウトした視界の中でも、その明るい赤に金混じりの髪の輝きと、ガントレットを覆う炎が頼りなげに燃えている。
サンライズハートはムーニーバニーをかばい、ブレスの直撃を受けた。交差させたガントレットが表面から凍りついていく。しかし、その足はブレスを押し返すように、一歩前に出た。
「ひ、ひなたちゃん……!?」
「いけるよ、前へッ!」
日輪の輝きがさらに強くなる。一歩、また一歩とサンライズハートはブレスの直撃を受けながらも雪原を踏みしめて前へ。
そして……。
「サンライズ、ブローーーッ!!!!」
サンライズハートは、ドラゴンの顎に右拳を叩きこんだ。
竜の頭骨が砕ける音が響き、首がぐにゃりと曲がる。
ブレスは蛇口に繋がれたホースのように暴れまわり、遥か真上に白い円錐を描いた。
やがて空に朧げな虹を残しながら、吹雪は止んだ。粉雪の残りがサンライズハートの後光に煌めきながら、周囲に降ってくる。
ノックアウトされたホワイトドラゴンが、大きな音を立てて雪原に倒れ伏した。
サンライズハートは凍り付いた右手を掲げて、ファイティングポーズをとった。
「へっくしっ!」
『Congratulations! クリフォト制圧完了!』
ムーニーバニー レベル2→3 レベルアップ!
EXP296 +85点→ 381点 NEXT 600
サンライズハート レベル3→4 レベルアップ!
EXP454 +150→ 604点 NEXT 1000




