表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女コヴェナント  作者: さんどまん
第三章:レベリング
31/52

第31話 レベリング1

「お、レベル上がった」


「あ……私も!」


 二人は、動物園に併設された甘味処で軽食を食べていた。クリフォトへの侵入は体力と気力を消費し、特に緊張感からか甘い物が欲しくなる。


 サンライズハートはレベル3に上がり、HPがさらに100増えた。能力やスキルに変化はなかった。


 そして課金ダイヤ……アプリ内ではポイントと表記されている宝石が、さらに100個増えていた。


 ひなたは着実に増えている宝石を、指でなぞった。


「こっちの宝石は、やっぱりレベルアップするともらえるみたいだね」


 うさぎは目を輝かせて、レベル2で解放されたショップをタップした。


 ひなたがホーム画面を改造していたのが実は羨ましかったのだ。


 うさぎはあの動物と村で暮らすタイプのゲームが大好きなのだが、ちょうど流行っていた時期に親が厳しくなってきて、買ってもらえなかった。


 うさぎの画面に、家具や食器、そして壁紙と使い魔のリストが並んだ。うさぎは鼻息を荒くして、リストをスクロールした。


「うわぁ、いっぱいある……! 何買おう? ひなたちゃん、次は何買うの?」


「えっとね~、使い魔用に貯金したいんだけど、壁紙だけ換えときたいんだよね」


「わぁ、いいね! 私も先に壁紙だけ変えようかなぁ。あっ、窓もある……!」


 二人は、そうしてしばらく、少ないながらもコインの使い道を模索して笑い合った。ひなたはストローから口を離すと、うさぎを見た。その表情が晴れやかな笑顔からにまにましたものに変わる。


「な、なに?」


「いや~、うさぎもはまってくれそうで嬉しいな~って」


「え、え、えっ!? 全然はまってないよ! ただこの内装弄れる機能は楽しいから……」


「じゃあ一緒に続けようよ~」


「つ、続けないよ!?」


「え~」


 ひなたはふと思いついて、うさぎに言った。


「あ、そだ。経験値いくつになってる?」


 うさぎはレベル2になったムーニーバニーを見せた。現在のEXPは131点。NEXTは300となっている。前回の66点から+65点追加されている。


 ひなたはメモを起動して、数字を書きだした。


「うさぎ、今日はボス以外と戦ってないよね」


「う、うん。ごめん……」


「あ、違くてさ。前回が66点で今回が65点だったから、この点数の違いはなんだろ?」


「本当だ。私、先週も今日も、何もしてないのに……」


 ひなたは首を振った。


「ううん、そんなことないよ。うさぎのお陰で、怪我しないでボスが倒せてるんだから。ただ、ひとつ考えてることがあってね。うさぎの今の立ち回り方でも、クリフォトを攻略できれば経験値65点くらいは入る。でもレベル3に上げることを考えたら、今の131からだとちょっと遠いよね」


 次のうさぎの目標は300点……。1回につき65点前後の経験値と考えると、最低でも3回はクリフォトに潜らないといけない。


 ひなたは自分の画面を見せた。


 サンライズハートの現在のEXPは339だった。前回の139点から200点も増えている。そしてNEXTは600点。


「すごい……ひなたちゃん、この調子で行けば、あっという間にレベル上がりそうだね!」


「うん。ただ今日のグリーン・バケーションは、ボスの恐竜以外にも中くらいの恐竜がいたでしょ?」


 二人は森でのボス戦の前に、ヴェロキラプトル型の敵とも遭遇した。それらは20匹程度の集団で襲ってきたが、サンライズハートが一人で殲滅していた。


「たぶん、普通にクリアするだけで60点くらいもらえて、ボスとか敵を倒した分だけ加算されるんだと思う。ていうか私の200がもらいすぎなんだよね。二人で潜るなら、敵を半分ずつくらいで倒した方が公平なのかも」


「ごめんなさい……」


「あ、違う違う。労力の話じゃなくて。私ばっかりが倒してたら、私ばっかりコインも経験値も集まるんだよ? そんなの不公平でしょ?」


「ううん、そんなことないよ! それは、正当な権利だよ!」


 ひなたはじっとうさぎを見た。


「本当に?」


「え、え、えっ……」


「うさぎ、今のままでいいの? 今のまま、私に介護されるみたいに、ボスを倒してもらってちまちまと65点を稼いでいく形式で、この先やっていけるの……?」


 ひなたは、突き刺さる日差しのような眼光でうさぎを見つめてくる。


 いつのまにか手はそっと握られ、逃げられなくなっている。うさぎは靴底から水位が上がってくるのを感じた。しかし、手を握られているせいで逃げられない。


 そもそもうさぎはレベル5になったら引退する予定なのだ。


 それなら、今のままひなたにおんぶされる形でも……。


 愛想笑いをしようとしたうさぎは、ひなたの表情を見て、息を呑んだ。


 ひなたの笑顔は慈愛に満ちていた。


「ひゅっ……」


「うさぎ、私はうさぎのためを思って言ってるんだよ」うさぎの脳裏に母親の顔が浮かび、それがひなたと重なった。「魔法少女を辞めたあとも、人生でこういうことはあるんだから。だからさ、私が一緒にいられるうちに、克服しておこうよ」


「あ、あう……」


「大丈夫だよ。私も一緒に手伝ってあげる! ……それで本当に無理だったら、のんびりレベル上げていこうよ」


「は、はい……ありがとう、ひなたちゃん」


 こうして、ひなたによるうさぎの対クリフォト強化月間が始まった。




 ムーニーバニー レベル2

 EXP66+65→131点 NEXT300


 サンライズハート レベル3

 EXP139+200→339点 NEXT600

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ