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4 すれ違う手紙

それから、数日後。


(……また?)


シャーロットは、届いた箱を前に小さく首を傾げた。

髪飾り。

ドレス。

花束。

アクセサリー。


――そして、今日もまた。


贈り物が届いている。


(どうして私なの?)


お茶会まで、

一度も言葉を交わしたことのなかった相手。


しかも。


筆頭公爵家の子息。


戸惑いながらも。

そっと、小さな箱を開ける。


ふわり。


甘い香りが広がった。


「……!」


思わず、目を見開く。

(美味しそう……)


その瞬間。


すべての思考が、一度止まった。


(……いけないわ)


はっとして、首を振る。

(お礼も書かずに食べるなんて……!)


深呼吸。

そして、机に向かう。


『ウィリアム様。

この度は、過分な贈り物をいただき、ありがとうございます。

先日いただいたお菓子について、ぜひお伝えしたく、お手紙を書きました。』

ペンが、すらすらと進む。

『外側の軽やかな食感と、中のしっとりとした生地の対比が素晴らしく、バターの濃厚さも絶妙で――』


(……ふう)


一度、ペンを止める。

(これで……いいかしら)


――いや。


(だめよ、シャーロット。これは感謝のお手紙なのよ)


自分に言い聞かせるように、再び書き出す。


『先日のお茶会での果実ソースも、酸味のバランスが全体を引き締めており、最後まで飽きることなくいただきました。』


(よし……!)


そして。


最後に、ほんの少しだけ迷ってから――

『もし差し支えなければ、どちらのお店で購入できるのか教えていただけますと幸いです。』


(完璧ね)


満足げに頷く。


「カレン、この手紙をお願い」

「かしこまりました、お嬢様」


こうして。

一通の手紙が、公爵家へと届けられた。


――その内容が。


“求婚への返事”として受け取られるとも知らずに。






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