表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食べる令嬢 貢ぐ公爵の溺愛事情  作者: シャルru


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/16

15 出産編

大きく育ったお腹を、そっと撫でる。


「ふふ……今日も元気ね」

シャーロットは、穏やかな日々を過ごしていた。


「本日の一皿はこちらでございます」


運ばれてきたのは――

【採れたて卵のプリン ·蒸し野菜添え】


現在、公爵邸では密かに

【シャーロット様のお食事考案選手権】

が開催されている。


レシピが選ばれた料理人には褒美がある。

そして何より――


「……ホクホクのお野菜に、この濃厚なプリン

……ソースのように絡んで……野菜の甘味が更に合わさって、とても優しいお味ですわ」


シャーロットの感想が、料理人にとって

最大の報酬だった。


公爵邸の厨房は日々、彼女のために進化中なのだ。


そんな穏やかな日々にも――

終わりが近づいていた。


「ウィリアム様……最近、少し……チクチクと……」

「痛むのか?」


すぐに頬へ手を添え、心配そうにキスを落とす。


(本日も相当にお熱いです。)

アリーナは食器を下げながら微笑む。


「いえ……そろそろ、かと……」


その一言で。

空気が変わる。


「――アリーナ」


低い声。

「常に医師を屋敷に待機させろ」

「かしこまりました」


(きましたわね)

アリーナの侍女として血が騒ぐ。


そして、翌朝。


「……っ、少し……痛いかも……」


アリーナの目が光る。

(いよいよ始まりましたわ)

「全員、配置につきなさい!!」

そして屋敷に号令が響く。


・医師召集

・公爵夫妻へ連絡

・湯の準備

・寝具の調整

・食事待機

・ベビー用品最終確認

公爵邸、戦闘モード突入。


そして。…ウィリアム様にも…報告ね



王城では。

「なに!シャーロットが……?」

その後すぐに

公爵邸に向かって、モクモクと砂煙を上げながら

走る馬車が。…ウィリアムである。


「シャーロット!!」


「……ウィリアム様……っ」


すぐに手を握る。

それも強く、強く。


「ああ……代われるものなら……!」


(いつものやつですわね)

アリーナ、冷静。


だが今回は違う。

(この後、ウィリアム様の暴走確率、最大よ!)


いよいよ次の指示が必要だわ。

「ついたて設置!」


ウィリアムにおとなしく室内に居てもらう為の策。


それは、シャーロットの声は届くが

姿は見えない…ついたて。である。


完璧。


「ウィリアム様、こちらでお声がけを」

ついたての直ぐ側で、シャーロットに手を伸ばす。

「……ここから離れない」


(想定内です。)


そして次第に陣痛が強くなる。

「…ん…っ、ウィリアム様……あぁっ!」

「シャーロット!!死なないでくれ!!」


(話が飛躍しすぎですわ)


「ウィリアム、落ち着きなさい!」


公爵夫人、参戦。


「あなたの時も同じだったのたから…」

「母上、それは統計上のことだ!!

シャーロットはこんなにも苦しんでいる!」


(いや、皆同じだ。)


そして――さらなるピークがやってくる。


「くっ。ウ…ィリアムさ…ま。ああっ。うっっ!」

「シャーロット!!!」

その場にいる者は皆、手に汗をにぎり

この夫婦に集中する。


「シャーロット!ああ…私はどうすれば

君をすこしでも楽にしてあげられる!?」


グイグイとついたてに迫るウィリアム…

…ギシギシ…

ついたてが…倒れそうになる!


(公爵邸。…なんてキケンな現場なの!)

女医は今にも倒れそうなついたての行方に

ハラハラしながら、対応する。


「皆、ついたてを押さえるのよ!」

侍女たち、総出。

ミシミシとしなるついたて…

(これは…想定外の…重労働だわ。)



その時。


「――オギャア!」


一瞬にして静寂。


全員、固まる。


今にも折れそうだった

ついたては

なんとか役目を果たした終えた。


そして…


すぐに歓喜。


「あぁ……シャーロット……」

ウィリアムの声が、静かになる。

「…本当に…ありがとう」


ウィリアムは、お役御免となったついたてから

シャーロットのほうへ。

優しく彼女の手を包み込む。


そして――

「君は、最高の妻だ。これ程のしあわせはない」

そのまま、顔を寄せ。


皆が見ている前で――

熱い口付け。


「……もう、ウィリアム様……」

赤くなるシャーロット。

だが、その表情は幸せそのもの。


「おめでとうございます」

女医が冷静に静かに告げる。

「とても元気な、お嬢様です」


――その瞬間。


公爵邸は、歓声に包まれた。

みなで万歳三唱。


すぐに関係各所に伝達。


厨房、祝宴準備。

侍女、産後体制へすぐさま移行。


そして。


アリーナは、そっと空を見上げる。

(……今回も、やり遂げましたわね)


一方。


女医は思った。

(……二度と来たくありませんね、この現場)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ