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食べる令嬢 貢ぐ公爵の溺愛事情  作者: シャルru


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16/16

16 エピローグ

出産から数日後――


公爵邸は、可愛らしい泣き声が響いていた。


「オギャア……!」


「まぁ……なんて愛らしい……!」

侍女たちが一斉に集まり、小さな命を囲む。


レティシア。


ウィリアムによく似た、

整いすぎるほどの顔立ちの赤子。


「……不思議だわ。私からウィリアム様が生まれてきたみたい」

シャーロットは、宝石のような瞳を覗き込みながら

微笑む。


「まさに、愛の結晶でございますね」


その言葉は、もはや公爵邸の日常だった。


公爵夫妻は本邸に帰るのを忘れ、

祝いの贈り物は山のように積まれ、

屋敷は連日祝福に満ちている。


――そして何より。


ウィリアムの愛は、減るどころか。

倍になっていた。


「本日の報告が遅い」

帰宅するなり、低い声。


「も、申し訳ございません……!」

レティシア担当医師が慌てて報告する。


「お嬢様は本日も元気にお過ごしで、よく泣いて腹筋と喉を鍛えられ、よく飲んで胃腸を整え、よく眠り……」


「そうか」

…満足。である。


そしてそのまま、音もなく寝室へ。


「シャーロット……戻った」


眠る妻の頬に、そっと優しく口付ける。


隣では、レティシアが小さく息を立てている。


(……ああ…可愛い。

     どうしようもなく二人が可愛い。)


しかし。


ウィリアムは、静かに思う。


起きている二人に全然、会えない。


笑う顔も、食べる姿も――

ほんのわずかしか見られない。


(……これは、大変 由々しき事態だ)


そして、決断する。


一ヶ月後。

「シャーロット、実は――」


王城に設けられた、いや、

設けさせた。新たな部屋。


保育ルーム。

「私の執務室の近くに、君たちのための空間を用意した」

完璧な計画。

・レティシアの為に王族専用の乳母

・休息できる環境と最新の設備

・いつでも会える距離

・ファミリーで宿泊も可能


「まぁ……!」


シャーロットの顔が明るくなる。

「私も……少し淋しくて……」


その一言で。


(やはり完璧だ)

ウィリアム、確信。


翌日。さっそく

王城・保育ルームに行きたいというシャーロット。


最新の設備と、熟練の乳母。

レティシアは興味津々に目を輝かせ、

乳母たちに心して相談を重ねる。


そして――

仕事の合間にウキウキ覗くウィリアム。


「……少しだけ」


と言いながら、なかなか戻らない。

挙句、保育ルームに持ち込み、仕事をしようとする

(それも、想定内。)


素敵だわ。

しばらくこちらで過ごそうかしら…



王族たちも、ウィリアム家族を温かく見守っていた。


――その頃。


公爵邸では。

「……静かですわね」

「ええ……あまりにも……」


天使の声が消え、

甘すぎる夫婦の光景も消え、

料理人はその腕を振るう機会を失い。

使用人たち――ほぼ屍。

 

アリーナ…魂が抜ける


公爵夫妻もまた。

「…あなた。…寂しいです…わね……」

「うむ……」

目に見えて元気がない。


そして三日後。


帰宅したシャーロットとウィリアムを待っていたのは――

「ど…どうか!お戻りください……!!」


使用人一同、総出の迎えと共に出された

嘆願書。


さらに。

天使と可愛い嫁に3日も会えなかった、という、

公爵夫妻からの、無言の圧。




――数日後。


王城保育ルーム計画は。

**「日帰り限定」**となった。



その夜。


ウィリアムは、今夜も静かに二人を抱き寄せる。


「……もう少し。後少しだ。」

眠るシャーロットと、レティシア。


小さく息を吐き、そっと頬を寄せる。

「後少しだけ、待てばいいだけの話だ」


抱きしめるその腕は、変わらず優しく。

その笑顔は愛に満ちている。



そして公爵邸には、今日もまた。

笑い声と、泣き声と――

そしてほんの少しの騒動が、絶えないのだった。

沢山反応頂きまして、

びっくりしております。

ありがとございます。

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