表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/28

第23話 反撃開始っ!!

 私は、ローレンシア皇帝とともに、状況を殿下に説明した。

 ローレンシア軍がここにいるのは、侵略のためではなく、ローレンシア国内のタカ派、造反者を捕らえるためだったこと。

 造反者たちは、ルティアナの独立を快く思ってないこと。ルティアナを攻撃し、滅ぼすつもりだったこと。

 砦にいる辺境村の人たちは、女性たちを人質にとられて、仕方なく将軍に従っていること。

 そして、その造反者たちを国内に招き入れるための、協力者がいたこと。

 

 「勝手に越境したことは、申し訳ないと思っている。だが、奴らを捕らえるため、どうしても渡河する必要があった」

 ローレンシア皇帝は、そう言ってアッサリと頭を下げた。一瞬周囲にいた臣下がざわついたが、皇帝自身はあまり気にしてないようだった。

 「いえ、こうしてルティアナの安全を守ろうと動いてくれたわけですから、こちらも感謝いたします」

 殿下も頭を下げる。

 これでおあいこだ。

 「それより…。その越境した造反者たちは、すべて捕らえたのですか⁉」

 「ああ。それは問題ない」

 互いに顔を上げ、言葉を交わす。

 「それより、問題なのは…」

 二人で頷き合う。

 ――ルティアナを滅ぼしたいローレンシア人を、国内に招き入れた人物がいること。

 おそらく、メリクリオス将軍はその一派なのだろう。ローレンシア軍と自分とで、殿下を挟み撃ちにするつもりだったみたいだし。そのあたりは簡単に予測がつく。

 独立ばかりのルティアナを、ローレンシアに売り飛ばす人物がいる。

 それが問題なのだ。

 「まずは、あの将軍を捕らえて話を聞くしかなさそうだな」

 ローレンシア皇帝の言葉に、殿下が頷く。二人とも、意見は一致しているらしい。

 「砦攻略に、人手が必要なら助力は惜しまないが、どうする!?」

 そう提案するローレンシア皇帝の目は笑っている。どっちかというと、この状況、楽しんでない⁉

 「あの…」

 なんとなく、昨夜から気になっていたことを訊ねる。

 「どうして、そこまで手伝ってくれるんですか⁉」

 造反者を捕らえるためって言ってたけど、せっかく越境したんだし、このままルティアナ王都を攻めても問題ないのに。

 ルティアナが混乱してる今、そのチャンスはいっぱいあるのに。

 殿下に手を貸してくれるっていうのは、どういうことなんだろう。

 「ふむ。なかなか真っすぐにモノを訊ねる娘だな」

 グイッと皇帝が身を乗り出す。ジッと見つめられると、どうにも恥ずかしい。

 「疑問に思うのもわからないでもないが…。いいだろう、教えやる」

 照れてると、皇帝が離れてくれた。そして、ちょっと身をそらして。


 「金がない」


 ………は!?

 何、その理由。

 キョトンと目を丸くする。

 金!? カネ!? かね!?

 「今のローレンシアには、金がない。戦争をするだけの国庫のたくわえがないのだ」

 いや、それ、ふんぞり返って言うこと!?

 「長年の戦争で、金が尽きた。増税すればなんとかなるかもしれないが、それでは暴動に発展してしまう」

 あけすけにモノ言う皇帝に、周囲が完全に慌てふためいてる。

 「だから、隣国となったルティアナには、我らの財源が潤うまでは、安定していてもらいたいのだ」

 つまり。

 戦争するだけのお金が溜まるまでは、生き残っててね。お金溜まったら、戦争するからね…ってこと!? だから、今は戦争する気がないし、戦争をふっかけようと動いた連中を捕らえるってことですか⁉

 「それに、戦うだけが戦争ではない。交易によってルティアナから奪うことも出来る」

 それは、金でありモノであり。商売も一つの戦争なのだ。

 「もちろん、その途中でルティアナが隙をみせれば、容赦なく攻め込ませてもらうが、殿下は、そうやすやすとみせてはくれないだろう!?」

 当たり前だ。誰が、はいそうですかと、隙をみせて国を滅ぼさせるか。

 「ということだ。理解できたか⁉」

 「え、あ。はい。ありがとうございます」

 頭を下げると、皇帝がカラカラと笑った。お付きの人たち、頭抱えてるよ。あーあ。

 「殿下もご納得いただけたかな⁉」

 皇帝が殿下にも視線をむける。

 「はい」

 殿下も微妙に固まっていた。まさか、そこまで内情を説明されるとは、思ってなかったみたい。

 「では、早速、砦攻略の作戦会議を始めるとするか」

 完全にローレンシア皇帝のペースに巻き込まれてる。

 だけど、なんだろう。イヤな気分じゃない。

 敵になるかもしれない人物だけど、不思議と嫌いにはなれなかった。


 殿下と皇帝が立てた計画はこうだ。

 1.砦の正面に軍を配置する。しかし、砦に攻撃はしかけない。軍はあくまで囮。

 2.その間に、私の使った坑道から、砦内部に侵入。

 3.人質にされた女性たちを助け、男たちを将軍から解放する。

 4.中から跳ね橋を下ろし、門を開ける。

 5.それを合図に、軍が突撃!! 首謀者である将軍を捕らえる。

 

 「この作戦の要は、坑道を行き、門を開けることだ。女性たちを救出するのと、門を開けるのと。二つの人員が必要となるな」

 書き起こされた図面に、殿下が唸うなる。

 「女性たちの塔へは、ボクが案内します」

 自分から立候補した。

 「塔の入り口は覚えてますから。それに、坑道のなかも」

 「レオ…」

 殿下が目を見張る。

 あ、また危険だって怒られちゃう⁉

 でも、誰かが道案内しなくちゃいけないし。知ってるのは私だけだし。

 「安心しろ、アル。俺がついていく」

 グワシッと、背後からバルトルトさんに羽交い絞めにされた。

 …うおうっ!!

 「僕もついてくよ。レオくんは任せなよ、アル」

 イリアーノさんに髪をクシャワシャッと撫でられた。

 ちょっと、二人とも。私の扱い、ヒドくない!?

 「バルトルト、イリアーノ…」

 殿下が静かに目を伏せた。

 「頼む」

 再びこっちを見た殿下に迷いはない。短く告げられただけだ。

 「うむ」

 「お任せあれ」

 二人らしい返答。

 「あのっ、ボクもガンバリマスッ‼」

 私もムンッと力こぶを作ってみせる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ