宣戦……布告…ですか?
その後、私は馬車まで送るという申し出を断って王宮を歩いていた。
王宮内で危険な目に合うことはないだろうし……馬車までは5分もかからないもの。
それでも送ると引こうとしない3人に
「あなた達は荷造りとかやるべきことがあるでしょ。自分でやらなくても指示だってしなきゃいけないし、たった5分の距離を私が帰るだけで4人でぞろぞろ歩いてたら、私の方が王子たちを侍らせてるみたいで悪評が立つわ」
と言うと渋々と引いたのがついさっきのことだ。もちろん、なるべく人が多い場所を歩くようにと口酸っぱく言われたが……。
まったく……ちょっと過保護すぎるのよね。
特にレオに関しては、私が元アラサーの転生者って事を忘れてるんじゃないかしら?
もちろん日本よりは治安は良くないけど、そもそも日本が外国と比べたらかなり治安が良かっただけで、特別この国の治安が悪いわけじゃない。
あの国だって100%安全だったわけじゃないし、私だって防犯意識を持って生きてたんだからいざとなれば頭突きだって肘鉄だってする覚悟……
「あら」
ちょっと昔のことを考えながら歩いていると、ふと目の前に小柄な影が差した。といっても身長的には私と同じ程度だ。
「ご機嫌よう、アリスさん。先程ぶりですわね。道に迷われましたの? ここから先は王族の生活スペースですので許可がないと入れないので、戻ったほうが…」
目の前で腰に手を当てて大きな目を吊り上げているアリスさんに事実上行き止まりだと伝えると、彼女は吊り上げていた目をさらに吊り上げて大きな声を上げた。
「うるさいわね!! 分かってるわよ、さっき守衛に止められたもの! ああもう、腹立つわ…。なんで私が入れないのにアンタは入れてるの?!」
「そう言われましても……。私はレオの婚約者なので、彼から許可をいただいてるもので…」
「はっ、そうやって私愛されてるんですアピール? ウザ。ていうか、悪役令嬢がレオ様たちに近付いてるんじゃないわよ。どうせ処刑される運命なんだから日影でひっそり暮らしてなさいよ」
あらぁ…思ったよりもお口が悪い……。しかもこれはなんと言うか……言ってる内容、私よりも悪役令嬢っぽいんじゃない?
「困りましたわね…ただの事実なのですが…。それに、悪役……令嬢? というのは一体どういう意味ですの? 言葉的には私が悪い令嬢…という、そのままの意味かしら」
悪役令嬢がどういうものか分からない、と首を傾げてみせると、アリスさんは「はぁ?」と苛立ちを隠すこともなく私にツカツカと歩み寄ってきた。
「アンタ、とぼけてるの? アンタも転生者だってのは気付いてるのよ。どう考えてもゲームの設定と違うし、レオ様はなぜかアンタに惚れてるし……どうせ転生して来てレオ様目当てで色仕掛けでもしてるんだろうけど無駄だから諦めなさい」
「てんせいしゃ……? 仰っている意味が分かりかねますわ」
あらあら、凄い。多分根拠はないんだろうけど転生者っていうのは当たってる!
感心していると、アリスさんが目の前で今にも地団駄を踏みそうになっている。
「もー!! 腹立つわね! とにかく!
アンタなんてレオ様に愛されないんだからとっとと身を引きなさいよね!!」
そんな私の態度が気に食わなかったのか、ぷりぷりと怒って踵を返したアリスさんが足音を立てながら元来た道を戻っていく。
「私もそっち行くんだけど…」
多分そのまま歩いて行ったらまた怒られそうだし、もう少ししてから行こうかしら……。
現在、新生活に伴い執筆がゆっくり気味ですので、のんびり更新を待っていただけたら嬉しいです。
3週間とかは空かないと思います。
せいぜい1週間……?かも?




