悪役令嬢も癒やしになるそうです
ブックマーク&評価ありがとうございます!
「レオ……大丈夫? だいぶ疲れてるみたいだけど……」
あの異色な謁見から4日後。私はレオに会いに王宮に来ていた。
最近4人のお気に入りで、よく使うガゼボで他の面子の到着を待っていると心なしか虚ろな目になったレオがアルと共にやってきたのだった。
「あぁ……うん。大丈夫だよ。サラの顔見たら少し元気出てきた……」
そう言って微笑むレオはいつもの煌めきが三割減といった感じだ。言葉通りに大丈夫と捉えるのには無理があり、チラリとアルに目をやると、軽く眉間にシワを寄せ首をゆっくりと左右に振った。
………疲れきっているのね…。
アルは未だに口数こそ多くはないが、こうやってハッキリと意思表示をしてくれる事が増えたので有り難い。
「レオ、何があったの?」
「うん……色々…かな…。とりあえず座ろうか」
苦笑するレオにエスコートされ、長椅子に腰掛ける。隣にレオ、向かいにはアルとツヴァイが座るのが定位置だ。
「ねえ、その……彼女はどうしてるの?」
椅子に腰掛けて落ち着いたところで切り出すと、レオから深いため息が吐かれた。
「そうだね……とても自由奔放だよ。あそこまでマナーやルールに縛られることもなく振る舞えるのはある種才能かもしれない」
つまり、心ばかりのオブラートに包んでるけど、あの謁見のような事態が起こって頭を悩ませているのね……。
「俺は…正直、好ましくない。レオやツヴァイに対して慣れなれすぎる」
そしてこっちは思ったよりハッキリ言ったわ…。しかしまあ、アルがここまで明言するのも珍しいわね。
「ふたりともハッキリ嫌いって言やー良いのに」
彼女がどんな事をしでかしたのかと思った矢先、真後ろから声が掛かって振り返ると片手を上げたツヴァイがそこに立っていた。
「よお」
「ツヴァイ! おはよう」
そのままアルの横へ移動したツヴァイは、脚を組んでゆったりと腰掛けた。
「兄さんがサラに心配かけたくないのも分かるし、あんま言いたくねーと思うけどさ。ハッキリ現状は伝えといた方が良いと思うぜ」
「現状……?」
「ああ。あのセイジョサマとやら、王宮にいる間に男漁りでもするつもりなんだろうよ。しかもターゲットが俺と兄さん、アルと来たもんだ」
「男漁りって……つまり、アプローチしてくるってこと?」
「アプローチというか……その、彼女距離感がバグっていてね」
ああ、つまりゲーム感覚で迫られているのね……。確か、ラッキースケベじゃないけど、転んだ拍子に抱き止められたりとかザラにあった気がするわ。
「それは3人とも大変だったわね……」
意図して引き起こそうとしてるのかしら?と考えて同情すると、3人の顔がズーン…と効果音がつきそうなほどに沈む。
「ああ……正直、今日サラに会えるってのが俺達の癒やしだった……」
悪役令嬢が癒やしになんて、変な感じ…。ていうか、ヒロインなにやってるのよ。ここまで攻略対象達に嫌がられるって……。
「私がなにか出来たら良いんだけど……」
3人のあまりの様子にそう言うと、バッと息を揃えたかのように一斉に顔が上がり隣りに居たレオがガッシリと私の肩を掴んだ。
「ダメ。お願いだからサラはあの子に関わらないで。お願い。不要な苦労はして欲しくない。ていうか、何か起きたら僕は自制できる気がしない」
「え、自制…?」
「俺も無理。権力総動員する」
「処刑されようと、斬り捨てる」
「待って待って待って! みんな物騒すぎよ。一体何があったのっ?」
「それは……」
レオが言いにくそうに口を開いた時だった。
「レオ様ーー!!ツヴァイ様ーー!!アル様ーー!! おはようございまーすっ!」
遠くから、それはそれは元気な声がこちらに向かって来るのが聞こえた。
『出た………』
3人がハモりため息をつくけど、貴方たちもレディーに対してそこそこ失礼ね……。




