義妹はお断りしたいです。
誤字報告ありがとうございます!
教会。このグレイグ王国の主立った信仰である女神マリアンナ様を主として崇めている機関だ。
教会に入るということはつまり、神官になるということ。修道院とはまた違うので婚姻も可能だが、教会自体に権力というものは与えられておらず表向きは政治に不介入と言うことになっている。教会もまた、神に仕える身として政治という欲望渦巻く場所とは無関係を通しているので、聖女を政治の道具として使いたい貴族からすると大変手を出しにくい場所でもある。
「教会であれば聖女の保護もしてもらえます。また教会、神官による政治介入は禁止されているのでもし聖女が誰かと婚姻を望んだ場合、彼らの政治介入の抑止にもなるかと」
「ふむ……それもまた良い案だな。ちなみに、アーガイル家に聖女を養女に迎えてもらうというのも手だとは思うが、それについてはどう思う?」
予期せぬタイミングで自分の家名が呼ばれ、ピクリと肩が動く。私の家に聖女……ヒロインを養女に迎える…?
政治とか抜きにして、個人的にそれは避けたい。私とレオが婚約している以上、嫌でもヒロインとレオ……そしてアルやツヴァイとの交流も増えてしまう。それでは今やっている事が台無しになる可能性もあるのだ。
「確かに。アーガイル家は王家への忠誠心も厚く聖女を安心して預ける事も出来ると思います。また、サラが僕の婚約者なのでアーガイル殿が聖女を王家へと嫁がせようとも思えません」
隣でレオが陛下の案を推すかの様な発言をし、私は思わず繋いだままの手を緩めた。けれど、それを逃さまいとギュッと握り直される。
「しかし父上。もし聖女をアーガイル家へと預けた場合、他の貴族からの反発に合うでしょう。サラが僕の婚約者であるという以上、政治的バランスから避けるべきだと思います」
真っ直ぐ陛下を見つめる横顔から、絶対に譲れないという意志を感じる。
「……そうか。ではもし本物の聖女であった場合はモーガン男爵家へと預けよう。あの家は中立派で一代限りの爵位だ。その爵位を次の代まで与える代わりに聖女を学園の卒業まで預かるとなれば、嫌とは言うまい」
陛下が下したのは、先のレオの案を採用したものだった。そしてモーガン男爵家とは、王党派にも貴族派にも属さない中立派…。この中立派に預ける事で、貴族派からも王党派からも文句は言えなくなる。
私はひっそりと胸を撫で下ろした。
もしかしたらヒロインは良い子かもしれない。でもヒロインがとるルートによっては死ぬ可能性もあるのだ。仲悪くするつもりはないが、必要以上の関わりは持ちたくない。
「そうですね。それが良いかと」
こくりとレオが頷くと、見計らったかのように扉がノックされた。
「なんだ」
「失礼致します。聖女を名乗る少女の力の確認が出来ましたのでご報告に上がりました」




