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権力争いは御免です。

ブックマーク&評価、誤字報告ありがとうございます!

 そんな私の様子を見て、王妃陛下はにこりと笑うと、上品に笑った。



「まあ、あなた。私たちの将来の娘はなんて健気で可愛らしいのか…。私としては若者の恋路を引き裂くものではないと思いますわ」



「うむ。この一年で互いに信頼関係も結んでいるようだ。この婚約を破棄する理由などあるまい。……ツヴァイよ。これはお主がどうしたいかだ。国の事や母の事など考えず、心のままに答えるが良い」



 そう言って話の矛先を向けられたツヴァイは、少しの間目線を下げて考える素振りをすると、ポツリと話しだした。



「俺自身がどうしたいかって聞かれたら、まだ婚約する気はない、かな。兄さんが王位に着くまで余計な派閥を作らない為にも……俺の気持ち的にも…婚約者はいらない。俺と母上が望むのは、継承権に関わらない生活だ。……だから、この場に母上を呼ばないでいてくださった事に関して父上と王妃陛下に感謝を」



 これは、聖女と婚約を結べば必ずツヴァイも王位継承権争いに巻き込まれる話だ。しかも、本人たちの意思に関係なく周囲によって……。



 少し心配になりチラリとツヴァイの様子を見ると、軽く頭を下げていた彼は顔を上げて、ニヤリと笑った。


 ……この顔は、知っている。最近ツヴァイはイタズラを思いついたりすると、こうやって右の口角だけを釣り上げて笑うのだ。



「ただ、自ら聖女を名乗る女性は一目見ておきたいかな。父上、この後は謁見を許す予定で?」



 これは聖女に興味を持ったから……ではないだろうな…。


 多分、言葉の通り「自称聖女」がどんな人物か……そして貴族派がこぞって駒にしたがっている少女はどんなものか見た上で何かしらしようとしているのかもしれない。


 その何かしらが何なのかは皆目検討もつかないけれど…。



「うむ…。聖女だと認定されたならば謁見の間に通すよう言ってある。ツヴァイの同席を許そう。レオナルド、サラ。2人はどうする?」



 そう問われた私達は、どちらともなく顔を見合わせた。


 本来の予定はなるべく聖女に関わらないまま学園生活を送るつもりでいたが……こうなった以上、関わらないというのも難しいだろう。なにせ彼女は王宮にまで乗り込むタフさを持ち合わせているようだし、王族の婚約者……という立場は二人によって却下されてはいるが、どこかの貴族の養子に入ることは確実だ。そうなると否が応でもお茶会等で顔を合わせる確率は高くなるのだ。


 それに、このまま攻略対象であるツヴァイが顔を合わせてどうなるかも少し気がかりではある。



 恐らく似たような事を考えているであろうレオが私に小さく頷いてみせた。



「僕達も同席させて頂きます。未来の国を担う以上、聖女がどのような人物か自分たちの目で見る必要がありますから」



 その言葉に国王陛下はゆっくり頷き、それでは。と話し出す。



「二人とも聖女を婚約者として迎えないと決めたが、流石に貴族の養子になってもらわねば困る。万が一、他国が誘拐など企んでは困るからな。私としては伯爵家以上の家格で保護するのが良いと思うのだが、どうだろうか」



「伯爵家以上ですか…。父上、お言葉ですが聖女を笠に着て権力を持ち始めると厄介なのも伯爵家以上の家では…?」



 国王陛下の言葉にレオが反論する。恐らく陛下も分かっている上で投げ掛けたのだろう。うむ。と相槌を打つと「ではどうするべきだと思う?」とレオに投げ掛ける。



 ……なんだか、レオの手腕を試しているみたいだわ。



「僕は地方に土地を持たず首都に住む男爵家、もしくは子爵家に養子に迎えてもらうべきではないかと思います。彼らであれば聖女というカードを持っていたとしても伯爵家以上の脅威には成りえません。また、国から護衛を派遣して保護すれば、問題ないでしょう」



「ふむ……しかし、その護衛はいつまで続ける? 生涯というのも難しかろう」



「もちろんです。なので、期限は学園生活の卒業まで。その後は教会へ入って頂きましょう」

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