思惑が渦巻いているようです
すみません、予約投稿が土曜になってました…
「処遇……ですか」
隣のレオが若干眉間にシワを寄せながら問い返すと、国王陛下は大きく頷いた。
普段であれば発言の際に許可を得るものだが、今回は家族のみの話し合いということで自由に発言して良いとの事だ。私も思うことがあれば遠慮せずに発言せよと言われている。
……かと言って、そうポンポンと話せるとは思えないが…。
「今回、聖女としてやってきた少女は平民だ。門番の前で聖女の証である術を見せ、私に謁見の申込みをしてきた。さすがに門番に術を見せている以上、無視できるものでもない…。また、貴族派から厄介な提案もされていてな」
そう言って首を横に振る国王陛下の言葉を繋げるかのように、王妃陛下が大きくため息をついた。
「その娘を地位の高い貴族の養子に迎え、どちらかの王子の婚約者にするべきだと言っているのよ」
ふたりとしては乗り気ではないらしい。それもそうだろう。その案は貴族派が養子に迎えて、今後王妃になった際に国政に口出ししやすくする為だとすぐに分かる。
「あの狸たちは悪知恵だけは働くからな。それに、どうせこうも言ったんだろ。『聖女が平民のままでは他国に力が渡る可能性がある』とか」
そう嫌悪感を滲ませているのはツヴァイ。多少マナーは良くないが、それを咎めるものはここにいない。きちんとした場では第二王子として相応しい振舞を普段見せているので、国王陛下も自由にさせていると聞いたことがある。
「まさしくその通りだ。そして、その理由としてもすぐに退けられるものでもない。今後、聖女の力がどのように成長するかも分からない以上、手元に置いておくに超したことはない。だから二人を呼んだのだ」
「そうだと思いました」
「サラ。あなたには少し不愉快な話をするわ。ごめんなさいね」
申し訳なさそうな王妃陛下に、私は大丈夫だと頷く。
「……二人に聞く。もし今後聖女が婚約者になる可能性があった場合、それを受け入れるか?」
国王陛下から発せられたのは、充分予測していたものだ。私がレオの婚約者になってから一年半…まだ婚約を解消しても問題がない時期ではある。
きっと貴族派から、私との婚約はまだ一年半しか経っていなく年齢も若い。聖女を迎えるに当たって解消しても被はないのだから問題ないのだろうとでも言われたのだろう。
確かにキズ物。と言われることはないと思われる。これが16歳頃を超えていたら浮気だの貞操観念だのと有りもしない噂が立つ可能性はあるが、まだ私達は12歳でそういった可能性はほぼない。しかもそれが聖女が現れたから…といえば誰もが納得するだろう。
貴族派としては、王党派……つまり、現在の王家を支持しているやっかいなアーガイル家を退ける良い口実が出来た訳だ。
「そうですね…。聖女をどの貴族に養子に迎えるかはともかくとして、聖女を王妃として迎えるのは国として最善の選択かと思われます。他国からも手出しが出来なく、保護が出来る。
けれど、これは僕個人の気持ちですが……聖女を妻として迎えるつもりはありません。王妃として相応しい資質をサラは持っていますし、それに僕が生涯をかけて愛するのはサラ・アーガイルだけです。万が一にも、側妃としてでも他の誰かを迎えることはありません」
まず国王陛下の問に答えたのはレオだった。テーブルの下でぎゅっと握られた手から体温が伝わるかのように、段々とそこから熱が上ってくる。顔まで熱くなってきた…。
「ふむ…。サラ・アーガイル嬢。レオナルドはこう言っているが……君としてはどうかな?」
そんな私達を見つめた国王陛下が、優しく私へと目を向ける。
「私は……私は、とうにレオナルド殿下と共にこの国を支えていく覚悟をしております。そして、このように愛情を向けてくれている殿下に…私は応えたいと思ってます…」
嘘ではない。この一年半で、私はレオに惹かれている。いつも真っ直ぐに愛情を伝えてくれて、彼の隣にいると日だまりのような暖かさを感じてそれを心地良いと思っていて……それをまだ言葉にして出せていないだけで、好ましいと思ってはいるのだ。
その気持ちの一端を初めて口に出した私は、きっと耳まで真っ赤になっているだろう。




