↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/41

元本職は欺けません

 あれから約一週間が経った頃。私は再び王城のサロンへと案内されていた。


 今日はツヴァイ殿下と会う日だ。レオの計らいで、義理の姉弟になるのだから一度顔合わせしようということになった。といっても両陛下に許可は取っているらしいものの非公式なので堅苦しいことは一切ない。



 まあ、それでも対王族って考えると気は抜けないんだけどね。



 前回と同じサロンで出された紅茶を飲み、今日のことを考えてちょっとだけため息が漏れる。



 その時、コンコンコン、と扉がノックされた。



「どうぞ」



「失礼します。ツヴァイ殿下がいらっしゃいました」



「サラ・アーガイル嬢ですね? 初めまして」



 入室を許可すると、メイドが開けた扉からツヴァイ殿下が入ってくる。



 え?! 待って、レオまだ来てないんだけど…?!



 初っ端から二人きりというのは気まずいと思いながら、カーテシーを取り挨拶に応える。



「ツヴァイ殿下にご挨拶申し上げます。サラ・アーガイルでございます。本日は貴重なお時間を取っていただき、誠にありがとうございます」



「堅苦しくしないで。兄上の婚約者な訳だし、将来の王太子妃に臣下として振る舞われるのはちょっと…」



 困ったように笑い、目の前の椅子へと腰掛けて脚を組むツヴァイ殿下。



 こうして見ると、半分しか血が繋がっていないとはいえやはり似ているな、と思う。


 瞳はレオがピジョンブラッドなら、ツヴァイ殿下はルベライト・トルマリンのような若干ピンク味を帯びた赤で、少し釣り目がちなところが活発さを醸し出している。髪は暗めの茶色なので、そこは側妃様似なのだろう。


 パッと見は似てないかな? と思ったが、なんというか醸し出す雰囲気が似ている。



「兄上はちょっと遅れるらしいんだ。申し訳ないけど、しばらく俺にお付き合いお願いできるかな?」



「え? あ、はい。もちろんでございますわ」



 気のせいかしら…。なにかこう、引っ掛かるというか…。


 目の前の少年の話し方や所作に、デジャヴを感じる。最近良く見ていて、慣れてきたものだ。そして、声を通して感じる違和感に耳の裏がじりじりする。



「ありがとう。義姉上…と呼んだ方が良いかな? 貴方の噂は聞いてるよ。兄上と婚約してまだそこまで日は経ってないけど、何か困った事とかない?」



「義姉上だなんて…ツヴァイ殿下のお好きな様にお呼びくださいませ。そうですね…特にこれといって困る事はございませんわ。とても良くしてくださってます」



「そう。兄上が大分お熱だって聞いてね。義姉上を振り回してるって聞いたから心配していたんだ」



 そう言ってクスクスと笑うツヴァイ殿下。



 あ、やっぱりそうだ。さっきから感じてる違和感は……。



「あの、ツヴァイ殿下…」



「なんだい?」



「その、間違っていたら申し訳ございません。なぜレオナルド殿下に似せた喋り方をされていらっしゃるのですか?」



 ここに居るようで、居ない。ガラス一枚を隔てた向こう側で喋っているような感覚はよく知っているものだった。


 お芝居。


 しかも、そこにいる全員は芝居をしていないのに、ひとりだけ演技をしているかの様な違和感。いや…異物感。といった方がしっくり来るかもしれない。



「……………なんで、そう思ったの?」



 空気に静電気が走る。……さすがに踏み込みすぎたかしら。でも



「そうですね…。雰囲気といいますか…ツヴァイ殿下の喋り方や所作はとてもレオナルド殿下に似ていらっしゃって、さすが兄弟とも思うのですが…」



 言葉を選びつつ、ツヴァイ殿下の表情を読みつつ言葉を選ぶ。ここにレオがいなくて良かったかもしれない。いたら多分、最初からはぐらかされたと思う。



「無理、してらっしゃいますよね?」



 ほぼほぼ確信を持ってそう訊ねると、ツヴァイ殿下はにっこりと笑って…いえ。目元を下げただけの作り笑いを私に向けた。



「無理だなんて…僕はこれが常だよ? それに兄弟だから兄上に似るのは当たり前じゃないかな」



「本当に、当たり前でしょうか?」



「……なに?」



 口元がピクリと動く。



「兄弟とはいえ、似るにしても限度があります。ツヴァイ殿下の喋り方は…いえ、所作も含めて、レオナルド殿下を模倣されているようですわ。まるで双子であるかのように。私は、それに違和感を感じたのです。本来の殿下はもっと別の性格をしていらっしゃるのではないか…と」



 ジッと見つめながらなるべく淡々とそう告げると、ツヴァイ殿下の口元がぼそりと動いた。



「………い……せに」



「え?」



「いや。なんでもないよ。サラ嬢は人を観察するのが好きみたいだね。でも残念ながら僕は無理なんてしてない。推理が外れて残念だったね」



 聞き取れず聞き返すと、そのまま笑顔を浮かべながら背もたれによりかかり、腕を組む殿下。明らかな拒絶。


 このまま続けるべきか……しかし機嫌を損ねてしまうのも得策ではない。それなら一旦退くか…。


 一瞬逡巡した時、再び部屋にノック音が響いた。

3月になりましたね。本作の投稿から約一ヶ月…。

★の評価も、ブックマークもありがとうございます!

いつも執筆のやる気に繋がってます(*´∀`*)


ツヴァイ殿下初登場です。

彼の名前は言い難いのですが、意味があったりします。そこは近いうちに活動報告にでも…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。