ちょっと距離が縮まった気がします
更新時間遅れましてすみません。
箱をレオに渡したアルが椅子に座り、ちょうど通った店員さんにお冷を頼む。すぐに持ってこられたそれを勢い良く飲み干すと、その様子を見ていたレオがパチパチと拍手した。
「いい飲みっぷりだね、アル!」
いや、居酒屋じゃないんだから…。そうツッコみたかったが、私はすんでのところで飲み込んだ。
「あ、すみません…」
「謝らないでよ。それと敬語はなし!」
カラカラと笑うレオは、一口紅茶を飲むとさっきの箱を私の前へと差し出してきた。
「開けてみて」
開けてみてって…これ、私にかしら?
真っ白な箱はいつも買っている物よりは質が落ちるが上質な方で、そこそこのいいお店のものだと思われる。
そっと開けると、中には淡いピンク色のジュエリーボックスが入っていて、丁寧に取り出してパカリとその蓋を開けると、中には薔薇をモチーフにしたブローチが入っていた。
その作りは精工で、銀細工で作られた花は赤く染められており、銀色の葉や茎が複雑に絡み合った細工の所々に小さなルビーが散らばってキラキラと輝いていた。
「素敵……」
ほぅ、とため息が出る。銀細工で作られたブローチは多いが、基本的には真珠が付けられるものが多くこの様に宝石が散らされることは無い。
とにかく貴族というものは派手なものが好きで、大振りの宝石を使ったり、普段使いではカメオを着けたりするので、こういった宝石が少ないものはあまり着けないのだ。
「気に入ってくれた?」
「もちろん!」
「良かった。さっき、少しだけ貴族街に近づいた時にウィンドウ越しに見付けたんだ。珍しい作りだけど派手すぎなくて良いかなって」
貴族街の近くというと、一周回ったところだからここから徒歩5分ちょっとのところだ。
アルが息を切らしてたのはかなり急いで戻ってきてくれたからなのね。そんなに急がなくても良かったのに…。
そう思ってると、目の前のレオがスッと立ち上がって私の胸元にパチンとブローチをつけた。
「きっとサラに似合うと思ったんだけど…良かった、予想より可愛い」
「っ! あ、ありがとう…」
さすがにちょっと照れる…。
「それに、アルも…買いに行ってくれてありがとう」
「いえ…俺はそれも仕事だから…」
「それでも、ありがとう。今日の素敵な思い出の品になったわ」
嬉しくてブローチに手を当てると、自然と笑みが零れてくる。
ふと顔を上げるとふたりもこちらを見て微笑んでいるのが見えて、ちょっと恥ずかしい…。
「さて!三人揃ったし、頂きましょう! すっごく美味しそうでさっきから食べたかったの」
なんだかそれが恥ずかしくて誤魔化すようにふたりへケーキとキッシュを勧めると、ふたりは「仕方ないな」と顔を見合わせてフォークを手に取った。
なんだか、ちょっと距離縮まったんじゃないかな…?
口に運んだいちごのタルトは酸味とカスタードの甘みが程よくて、私は口いっぱいにその美味しさを堪能しながら満足感を感じていた。
急遽仕事が入ってしまい、更新遅れました…!
毎回文章の量のバランスが悪いなと思いつつ、区切りがいいところまで書くといつもバランス悪くなりますが、ご愛嬌ということで…




