クエスト9 幼なじみについて
ルーザックには、大切な幼なじみがいる。魚屋の長女エリウスである。
女性として、異性として、意識した事は一度もない。それでも、ルーザックにとっては重要な存在であるのは、確かである。
ルーザックが学校を辞めようとした時、その事を誰よりも先に報告したのは、このエリウスであった。
エリウスは、五人兄弟の長女という事もあって、人一倍面倒見が良かった。成績優秀で、クラスメイトからの評判も高い。将来は、有名私立大学に特待生として入学し、教師になる事を夢見ていた。まだ小学生なのに、モチベーションが高い。
そんなエリウスとは、遊ぶというよりは会話をする事が多かった。お互いの事、学校の事、異性の事。何でも持っている、エリウスが一つだけ持っていないものを、ルーザックは持っていると話した事があった。
「ルーザックは、私が持っていないモノを持っている。それは鍛えれば鍛えるほど、強くなる腕っぷしである。どんなに望んでも、女として生まれた以上、ただ、女であるというそれだけの理由で、それを手に入れる事が出来ない。私は強くなりたい。」
「そんなモノ、今の君には必要ないモノじゃないか?」
「そうかもね。でも憧れはあるの。純粋な強さに対して。」
「分かった!じゃあ、こうしよう。君の分も僕が強くなるよ。」
「何それ?(笑)でも、悪くないわそのアイディア。」
エリウスは、強くなれるchanceが多い異性が羨ましかった。自分が弱いから。女性は美しいが、か弱い。エリウスは強くなる事をルーザックに託した。エリウスは、強さとはかけ離れた道を歩む事になるのだが、ルーザックが強くなってくれたら、自分が強くなった気になれた。ルーザックは、エリウスの期待も背に受けた。
世間一般の幼なじみというと、ただ長い時間をダラダラと過ごしているだけの場合が、多かったが、ルーザックとエリウスは違った。お互いにお互いを高めあう方法を幼いながら知っている。
将来の事を、ここまで真剣に考えている小学生が、一体どれほどいるのか疑問を持つくらいである。そういった点からも、ルーザックとエリウスの関係は成熟し、大人びていた。
これだけしっかりと、物事を考える事の出来る小学生は、世界広しと言えども、そう多くはいない。




