クエスト10 将来の夢
エリウスの夢は、教師になる事であったが、ルーザックはどんな将来の夢を抱いていたのか?
具体的ではないが、ぼんやりと世界を平和にしたいと思っていた。勇者の一行に加わるという漠然とした目標はあった。
その為に、ルーザックはまず魔法使いとして経験を積みながら、悟りの書を見つける。そして賢者になり、ある程度の呪文と実力を身に付ける。そのタイミングで、勇者一行に合流する。という絵図は頭の中に描いていた。
しかし、今は「ディラ」と「トイミ」しか使えない。今の実力で勇者一行に合流した所で、足手まといになるのは、確実だ。その為、まずは悟りの書を見つけ、腕を磨く事にした訳である。
駆け出しのいっぱし魔法使いが一人で、コルティス村を離れるのは危険だったが、幸にしてコルティス村周辺に出現するビースト(この世界では、モンスターの事をビーストと呼ぶ)は、世界最弱レベルであった為、ここで、経験値を積んでいけば、少しは強くなって遠出をする事も可能になる。
世界地理に疎いルーザックでは、あったが、まずは世界地図を手に入れ、その見方を覚えた。コルティス村の周辺に出現するビーストは、「ディラ」一発で倒せる弱小ビーストばかりであった。レベルが7を越えた辺りから、魔法の杖と、これといって打撃力のない武器を装備したルーザックでも、一撃で倒せる腕っぷしがついた。
エリウスの分も強くなる。大切なモノを手にして失う怖さを手にしたけど、もっと強くならなくちゃエリウスとの誓いを果たした事にはならない。
コルティス村周辺は、もう敵なしとも言えるレベルに達しつつあった。だが、ここで、経験値を積むのは本意ではない。そろそろ、遠出の時を迎えようとしていた。
まずは、メラガディア王国内まで行動範囲を広げた。それでも、悟りの書の情報は簡単には得られなかった。ならば隣国まで行くまでなのだが、「トイミ」と「ディラ」で戦い抜くのは限界があった。悟りの書は薬草のように、どこにでもあるものではない。
そこで、ルーザックはとりあえず近くの大都市エルギノティオ城下町へ向かう事にした。ここなら、強力な魔法を覚える道筋が見えてくるかも知れない。
ルーザックは、生まれて初めてコルティス村を離れる事になった。10才のクソガキにしては上出来である。
エルギノティオ城は、この辺りでは最大級の都市である。多くの人間が行き交い、住んでいる。ルーザックは訪れるのはもちろん初めてであった。ルーザックは、とりあえず行ける所は、全て行ってみようと、戸別訪問をする事にした。
まるで、飛び込み営業をするセールスマンの様な感じで。10才のクソガキには出来ない事だろう。




