クエスト84 グドルフの教え
ルーザックは覚醒の事をピルティンに言う前に、グドルフ師匠の言葉を思い出していた。今は亡きグドルフの教えが、ルーザックの心底に今でも生きている何よりの証拠であった。
「苦しい時は勇気を出して力を借りなさい。何でも1人で出来ると思い上がるよりも、人の力を借りる事の出来る人間が、最終的な勝者になるのだ。ルーザックは、そういうシチュエーションを必ず迎える事になるだろう。だからと言ってその場を怖れる必要はない。立ち向かうのだ!困難は乗り越えられる人間にしか訪れない。その時、私の教えや魔法が役に立ってくれる事を願う。」
この言葉の意味が分かるのはピルティンと、その仲間のパーティーに加わってからの事だった。
グドルフは決して無駄な事を一言も言っていない。かといって、重要な事を言っていないかと言えばそうでもない。ルーザックはグドルフ師匠が、死んでからも、ずっと彼の言葉を心の支えにして、やって来た。別にグドルフ師匠の言葉が、特段の名台詞や綺麗事だったからではない。
要所要所でポイントを押さえているからこそ、心に残るものであり、ルーザックの道標となっていた。20才に満たない若いルーザックにとっては、世界平和は通過点に過ぎないのかもしれない。多感な時期だけに、葛藤や迷いが生じない方が不健康である。こうしたものがあることで、ルーザックが人並みの人間であり、等身大であることを如実に表している。ただ人より魔法が沢山使えるというだけの事である。
ルーザックは化け物でも怪物でもない。魔法の天才というだけの事だろう。悩みも憂いもある普通の青年なのだ。自分の歩んでいる道がこれで正しいと思った事は1度もない。
それでも自分の信念に従って行動するしか方法はない。どんなに迷っても最後には答えに辿り着く。グドルフの教えにはそんな希望が、沢山詰まっている。




