クエスト82 それぞれの過去②
もう1つ、ルーザックが驚いたのは、スーゲルの過去である。
スーゲルは、ピルティン自らがパーティーに誘った事をルーザックは知っていたが、スーゲルはマルゲラとは違い、名家エリンドムザー家の大切な一人娘であった。
育ちの良さだけでなく、武道家としてもその名声を轟かせており、ルセンブル王国で知らない人はいないとさえ囁かれた。
ピルティンとマルゲラ、特にマルゲラがスーゲルの美貌に引かれ、ピルティンの袖を引っ張りだこにした。マルゲラの熱意に感化されたピルティンが、自分の持ちうる全てのコネクションを総動員して、スーゲルを獲得にかかった。
まだ、世界平和を公言していなかった為か、ピルティンのプレゼンも次第に熱を帯びる事になる。スーゲルも最初は、何だかうさん臭い連中だと、本気にしていなかったが、ピルティンが伝説の勇者の名家トトの子孫だと分かると、態度を一変させた。そして、その腕が本物かどうか、一騎打ちをピルティンに申し出る。スーゲルがピルティンに破れれば、その時は素直にパーティーに入ってくれるという。しかし、もし自分が(スーゲルが)勝つような事があれば、スーゲルの命令でこき使ってやる。というのだ。
その条件が飲めないのなら、仲間にはならない。スーゲルの果たし状に伝説の勇者トトの血を引くピルティンは、そこまで言われて引き下がる訳には、行かない。結果的には、ピルティンが勝利するのであるが、それでも実力伯仲薄氷の勝利であった。
「スーゲル?嫌なら良いんだよ。君の人生だ。素敵なイケメンと幸せな生活をして、子供を生むっていう道もあるんだよ?」
「はぁ?誘ったのはそっちじゃん。それに私イケメンとか嫌いだから。それに大魔王バルガスは日増しに力をつけてる。私も伝説の勇者の血を引くピルティンの力になりたい。っていうか、ピルティンあんた力抜いてたわね?エリンドムザー家のルセンブル王国最強の武道家も舐められたものね。」
ピルティンもスーゲルもまだ、レベルが低かった。ピルティンもスーゲルも成長途中であったし、もしスーゲルにビーストクロウがあれば、勝てた可能性はある。思う所は沢山あるが、ピルティンとマルゲラはこうして、スーゲルをパーティーに加えたのである。




