クエスト5 父について
ルーザックの家族についても、触れる必要があるだろう。
家族の中で圧倒的な存在感を示しているのが、父親のマイドゥークだろう。先祖代々木こりとして、林業で生計を立ててきた家の第16代目当主(キラーズ家)として、一家を支えている。そう、ルーザックの名字はキラーズである。ルーザック・キラーズ。
本当はマイドゥークは、ルーザックに木こりとして、跡を継いで欲しかった。しかしながら、ルーザックには、木こりとしての才能よりも、別の分野に才能がある事を知っていた。父親として、それを知ってしまった以上、ルーザックの自由にさせてやるのが、父親の務めだと思えるようになった。
マイドゥークは、ルーザックが、魔法が好きな事を知っていた。キャンプファイアに行った時、「ディラ」の呪文で、蒔きに火をつけたのを間近で見た。だから、父親の務めとして、世間知らずのクソガキをせめて、まともな礼儀作法を身に付けさせる事だけだった。
マイドゥークの木こりとしての腕は、コルティス村だけではなく、メラガディア王国内でも、右に出る者はいない。と言われている。仕事人という言葉が似合う通り、職人気質で、職場では親方のような存在だ。部下からの信頼も厚い。
家庭では、家事育児共に母ウィリザーに任せっぱなしではなく、率先して汚れ仕事をこなす。ウィリザーとの仲も良好な様である。
そんなマイドゥークではあったが、一つだけ難点がある。ギャンブルが好きだという事である。身を滅ぼす程、家庭を破壊するほど、のめり込んだりはしないが、折角のマイドゥークの少ない小遣いをギャンブルに費やすのは、勿体無い事であった。名門キラーズ家にとっても良いことではない。
マイドゥークは、ウィリザーに毎月ギャンブルに使う金は額を決めてあるから、借金も家も手放す事はないから、安心しろと弁解している事があったが、一度熱中してしまうと、どうやら夢中になって我を忘れてしまう様である。ギャンブルさえしなければ、完璧な父親なのであるが、世の中そう上手くはいかない。
逆を言うなれば、ギャンブルに手を出していたからこそ、あれだけギャンブルで負けた、罪滅ぼし的な家事育児の手伝いだったのであろう。
いずれにしても、ルーザックにとっては、自分を育ての親であることに違いはない。好きか嫌いか、そういう次元を超えた場所で、コミュニケーションをとらなければならない、存在であることに違いはない。




