クエスト42 師匠との決別
師匠と弟子にとって修行が終わるという事は、それぞれが次なるステージへと行かなければ為らないという事である。
つまり、ルーザックは師匠との決別をしなければ、ならない。別れは辛いものだ。しかし、ルーザックにとっては、グドルフと修行してきたこの3年間は、それまで生きてきた18年間を遥かに上回る、密度の濃いものであったに違いない。
ルーザックは、その想いをグドルフに伝えるため手紙をしたためた。
「ここに来て、早くも3年間の月日が経過しようとしています。自分は、グドルフ師匠からありったけの魔法と、それを高める為の技術やノウハウを、教えて頂く事が出来ました。後継者を募集していると言った時から感じていましたが、グドルフ師匠は本当は後継者など、求めていませんでしたね。グドルフ師匠が求めていたのは、自分を越える魔法使いの出現であり、自分をそのようにしようと教育されていましたね。師匠の想いがどうであれ、私は師匠から与えられた魔法のスキルは、これからの自分の人生に、大きく役立って行くはずだと確信しています。辛い事の方が多かったですが、それでもここに来て良かったと思っています。自分が次なるステージへと進んでも、その先のステージから帰って来たとき、グドルフ師匠は、もうこの世にはおられないかもしれません。とまぁ、そんな冗談はさておき、本当に三年間ありがとうございました。グドルフ師匠貴方は自分の永遠の師匠です。ルーザックより。」
ルーザックにとってこの3年間は貴重な体験の連続であった。出会いがあれば、別れもある。ルーザックとしては、もっとグドルフの下で学びたかった。沢山学んだからこそ、今度はそれを社会の為に使え、というのがルーザックの考えであった。
だが、グドルフとしては、もう本当に教える事は尽きた。それは事実だ。予想以上にルーザックの吸収が早く、成長も早かった。頭脳明晰なルーザックは、今やグドルフを越えようかという勢いである。本来なら5年や10年かかる所を覚悟していたグドルフだったが、3年で終えたのは、ルーザック本人の不断の努力によるものだ。
師匠と弟子が、たもとを分かつ、決別する事はお互いにとって不可避なモノだ。だからこそ、言い残した事はないか、今言える事は言うべきである。あれを言っておけば良かったと、後悔しても時既に遅しなのである。




