クエスト38 成長
グドルフは、不安が無いわけではなかった。それは前にも紹介した通りだ。
しかしながら、そんな不安を吹き飛ばす様な成長をルーザックは見せていた。
毎日6時間以上の瞑想は、集中力と、魔力(GP)を上昇させ、課題であった詠唱速度も少しずつ速くなりつつあった。もちろん、まだまだ粗っぽく刺々しい原石であったが。
グドルフは、そんなルーザックを見てこう言った。
「人間というのは、やればやるほど、力を持つ種族の様だ。ルーザックを見ていると、本当にそう思わずにはいられない。もちろん、まだまだ目指すべき目標地点には来ていない。それに、こんなところで満足してもらっては困る。若いというのは、本当に成長するには、もってこいの時期である。今しか出来ない事を今やる事によって、可能性は広がって行く。70代そこそこのワシにはそれは出来ない。ルーザックにとっては今が成長のピークだろう。一生に一度の、な。ルーザックよ、今は辛く厳しいかもしれないが、ここが一番の踏ん張り所だぞ。」
ルーザックは与えられた課題をこなす以外の時間を寝る間も惜しんで、瞑想に費やした。もちろんそれ以外にやるべき事は山のようにあった。だが、基本を大切にするという、ルーザックの姿勢は評価に値するべきものである。
若いと人間は、つい応用力の必要な華のある高GP魔法に挑戦したくなる。だが、ルーザックは違った。あくまで自分の成長の鍵を握っているのは、魔法使いの基礎体力であり、瞑想をおろそかには出来ないというのが、彼の確固たる信念であった。
もちろん、それを誰かに言われたわけでもない。あくまで自主的なものである。それがルーザックの成長の一枚皮を破った要因ではないだろうか。逆を返せば、その信念がなければここまでの成長は無かった。
グドルフも目を見張るような、ルーザックの成長は、こうした基礎基本を大切にしてきた賜物ではないたろうか。




